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恐怖に火を灯す②

「で、リーナ。いろいろな魔法が使えるって言ってたけど……どの属性が得意なんだ?」



カイの問いかけに、リーナは少しだけ自信なさげに言った。



「一応、火・水・土・雷・風の基本5属性は全部扱えるんです。でも……火が一番得意です。特に《ファイアーボール》なら、多少の距離や狙いのズレも補正できます」



「なるほど。だったら、炎で岩甲トカゲの鱗の隙間を焼き切れば、内部にダメージが通るかもな」



「はいっ。でも……ひとつだけ、不安があって……」



リーナは少し目を伏せた。



「前にもお話したとおり、私、毒に……すごく弱いんです。以前も毒の魔物と戦って、すぐに動けなくなって……」



「安心しろ。ちゃんと準備してある」



そう言ってカイがリュックから取り出したのは、小瓶に入った毒耐性ポーションと解毒薬の山だった。



「これは毒耐性を一時的に上げるポーション。こっちは解毒薬。森の中は毒胞子で汚染された場所もあるし、俺が使う毒の巻き添えで苦しんでほしくないからな」



「そ……そんなにたくさん、1人で準備してくれてたんですか?」



リーナは目を見開いたままポーションを受け取った。



「当然だろ。一緒に依頼を受ける大事な仲間なんだから」



「……!」



リーナは顔を真っ赤にしてうつむいたが、その唇は少しだけ嬉しそうにほころんでいた。


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