29/91
初めての挫折と再会②
森の奥の洞窟。
湿気のこもった岩場の空気。足元に広がる不気味なぬめり。カイは毒ナイフを手に、洞窟の奥を進んでいた。
「出たな……岩甲トカゲ」
現れたのは、全身を岩のような鱗に覆われた巨大なトカゲ。瞳は爛々と輝き、牙をむき出しにして威嚇してくる。
「まずは、毒だ!」
カイは素早く麻痺毒を塗ったナイフを投げる。しかし――
カキィンッ!
ナイフは岩甲に弾かれ、毒が効いた様子はまるでない。
「うそだろ……効かねえ!?」
剣を抜き、岩甲トカゲに斬りかかるが剣術を磨いておらず、身体を鍛えている訳でもないカイには傷1つ付けることが出来ない。
次の瞬間、岩甲トカゲの尾が大きく振り抜かれ、カイは吹き飛ばされた。
「ぐっ……!?」
腕に裂傷を負い、ポーションを取り出しながら後退する。
「やばいやばいやばい!全然効かないし硬すぎるだろ!撤退撤退っ!」
カイは必死で逃げ出し、森を抜けてギルドに戻った。




