毒に襲われた村⑦
ドレッドワスプクイーン――見上げるほどの蜂の魔物が、毒針を振り上げて突進してきた。
「っ……!」
カイはすぐさま回避する。しかし、毒素を吸い込んでしまったカイは反応が遅れた。
鋭く放たれた毒針が腕をかすめた瞬間、ズン、とした重さが全身に走った。
(マズい、無毒化できない……!)
全身がしびれ、動きが鈍る。
それでもカイは、自作の解毒薬を口に含み、一気に飲み干した。
「――効けッ!」
ジワリと痺れがひいていく。カイは震える足を踏み出し、クイーンに接近する。
だが、致命的な攻撃は与えられず、近づくたびに毒をくらい、その度にポーションを飲む。
接近しては離れ、また飲む――を繰り返す。
「大したダメージは与えられてない。このままじゃ、先に解毒薬が尽きる。」
(これが最後の一本……!)
残ったポーションを口に含んだ瞬間、身体が一気に軽くなる感覚が走った。
《スキル「毒耐性Lv.4」→「Lv.5」に上昇しました》
「よっしゃあああ!!」
声をあげて突っ込み、撒き散らされた毒を無視して至近距離でクイーンの胴体を突く。
無毒化された毒針が、もう彼には届かない。
そしてカイの一撃が、クイーンの首を貫いた。




