召喚されたら毒でした②
——それから一週間。
俺は生き延びた。というか、死ぬほどギリギリで生きていた。
「うぅ……またお腹壊した……」
手当たり次第に草やキノコを食べ、水たまりの水をすすり、時には虫やカエルも口にした。
案の定、毒に当たって一晩中お腹を下したり、幻覚が見えたりもした。
それでも、不思議なことに、俺は死ななかった。
腹痛はするし、吐くし、意識も飛びかけた。でも、なぜか何日かすると体が慣れてくる。
「……なんか最近、何を食っても平気になってきたな」
もしかしてと思って、ある日キノコを2本食べてみた。
——ピコン!
脳内に音が響くような感覚と共に、ぼんやりとした文字が浮かぶ。
《スキル【毒耐性:Lv1】を習得しました》
「スキル!? ゲームっぽいの出たーーッ!!」
どうやらこの世界には“スキル”という概念があるらしい。
そして俺は、サバイバルの中で毒を何度も食らったことで“毒耐性”を手に入れた。
「やった……なんか、ちょっとだけ異世界っぽくなってきた……!」
そう思ったあと、前に食べたことのある毒キノコをかじった。
その味は、前よりもずっとマイルドで、なんなら美味しく感じられた。
「……う、うま……え、なにこれ、普通にイケるんだけど……」
その日から俺は、味覚の変化に気づき始めた。
強い毒ほど、慣れると美味しく感じる。
そして無毒化されるまで食べ続けると、毒耐性スキルの成長が止まる。
《スキル「毒耐性Lv.1」→「Lv.2」に上昇しました》
「もっと強い毒を……!」
俺は、いつの間にかそう思っていた。