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毒に襲われた村⑥
「――ギィィィィィ!」
まず1匹が襲いかかる。鋭い針が風を切り、カイの肩をかすめた。だが毒は効かない。すでにこの程度の麻痺毒は静電気レベルの痛みだ。
「っは、やっぱり平気だ……!」
毒を食らわせ油断しているドレッドワスプの腹を剣で貫く。そこに新たな羽音――今度は3体が一斉に飛来!
「数の暴力かよっ……けど!」
カイはさらに殺虫煙玉を地面に叩きつけた。煙が広がり、蜂の挙動が鈍る。すかさずポーチから毒塗りナイフを抜き、急接近し切りつける。
「これはな、俺の“特製”。自分の毒で味付けしてるんだよ!」
毒対毒。奇妙な戦法だが、効果は抜群。やがて巣の中から親玉らしき一際大きな個体が姿を現した。
「……あれがドレッドワスプ・クイーンか」
空中から花粉状の毒素を撒きながら突進してくる。視界が歪む。体が一瞬硬直する――




