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毒に襲われた村⑤
「娘を助けてもらった恩を返したい。俺が奴らの巣まで案内する。」
翌朝、カイは農家の男と共に畑の先の森へ入った。そこに奴ら――ドレッドワスプの巣がある。
「ほら、見えるか? あれが巣だ。でかいだろ」
森の奥、朽ちた大樹の内部に巨大なハチの巣が貼りついている。周囲には、羽音がぶんぶんと響いていた。
「こっから先は、俺は行けない。気をつけろよ、兄ちゃん……!」
農家の男が逃げるように森を去ると、カイは腰のポーチから数種の薬品を取り出す。
(このために作っておいた特製アイテム、試すしかないな)
まずは「簡易抗毒薬」を飲み、ドレッドワスプの麻痺毒に対する耐性を底上げ。
そして、虫型魔物の動きを鈍らせる「殺虫煙玉」を巣の近くに投げつけた。
「さあ、ドレッドワスプ共……試してやろう、俺の毒耐性を!」
カイは剣を抜き蜂の巣に向かって走った。




