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錬金術は命がけ!①

「……よし、やるか!」



朝焼けに染まる空の下。小さな腰ポーチにガラス瓶とノートを詰め、俺は街外れの草原を突っ切っていた。



目指すは《毒草の森》。Eランクでも危険とされる、低レベル冒険者には荷が重い採取地帯だ。



「まさか自分で毒の素材を取りに行く日が来るとはな……」



ギルドの掲示板には確かにあった。「毒草の森での素材採取依頼」──報酬はそこまで高くないが、行けば毒草も毒虫も取り放題。

つまり、俺の《毒耐性レベル》を上げるためのトレーニングに、うってつけなわけだ。



「というか、普通こんなとこ来ないんだよな、Fランクで……」



俺が足を踏み入れると、空気がどんよりと重くなった。

鼻をつく独特な草の匂い。湿気の多い空気に、身体の感覚がじっとりと嫌な感じに包まれる。



「くっせ……! でもこの香り、図鑑に載ってたな。《ヘビイチ草》だ」



その名前の通り、蛇のような斑点模様を持った毒草だ。誤って食べると幻覚を見たり、最悪は全身の痙攣で動けなくなるらしい。

──まさに、うってつけ。



「いや喜んでんじゃねえよ俺! でもまあ、これで毒薬作れれば一歩前進だし……」



試しに摘み取ろうと手を伸ばした瞬間、草むらから「ジジジッ」と甲高い羽音が響いた。

見ると、黒と緑の縞模様の毒虫がこちらに飛びかかってきていた。



「うおっ、虫はやめろってぇぇええええ!」



慌ててポーチから木の棒を引っ張り出し、ぶんっ!と振り回す。

当たらなかったが、威嚇にはなったのか虫はブーンと旋回して奥の草むらに飛んでいった。



「……俺、魔物より虫が無理かもしんない」



それでも、ここで引くわけにはいかない。

毒に慣れるだけじゃダメだ。素材を知り、扱えて初めて“毒を使いこなす”ことができる。


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