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盲目

第2章になります。お楽しみください

せいちゃん!....せいちゃん!......

聞き覚えのある声が、僕を呼んでいる。

聞いているだけで安心するこの感覚...自分の頭の中でその声の正体を探る作業、およそ0.2秒。すぐに僕の彼女、横山美幸だとわかった。

「....美幸・・・?」

「せいちゃん!!よかったぁ!意識を取り戻してもなかなか目を覚まさないから心配したよ.....」

「俺は、なんで寝てるんだ?」

「図書館の前の道路でうつ伏せになって倒れてたんだよ....覚えてない?」

そうか、俺は事故にあったらしいな。でも体には特に痛みを感じないし、ただの失神だったみたいだな。ならば、自分の状況をいち早く確認したい。

あ、でもまずは、彼女の顔を確認して安心しよう。まずはその作業が大切だ。

いつもなら無意識のうちにそんなことを考え、すぐに実行に移せるが、この時だけそうはいかなかった。

「ごめん、なんか失神っていうか、長く眠ってたせいで目の開け方を忘れてしまったらしいよ。僕の瞼を開かせてくれない?」

彼女は僕の手をゆっくり握ると、少し息遣いが荒くなり、不思議なことを呟いた。

「なに.....言ってるの?....なにかの冗談?それなら笑えないよ.....だって、もう目を開いてるわ.....パッチリと.....少しうつろだけど....」

なにいってるんだ。こっちのセリフだ!なにかの冗談か?すると、この部屋の扉が開く音が聞こえた。

「雪本さん。こりゃまずいですね。目が見えてませんよあなた。」

え、俺が?.....一体何があったんだ....図書館の前で....交通事故が起きて....なぜ目だけ....

「なぜ事故で他の部分は無傷で目だけ見えなくなってるんですか!!!どうぶつかったらこんな怪我の仕方をするんだ!!!!」

「いやね、雪本さん。あなた事故じゃないよ。事故じゃなくて人的要因だね。誰かに目を見えなくさせられてるよ。一体なんの意図か分からないけどね。目だけ見えなくさせて道路の真ん中に放置するとか。」

誰が....一体誰がそんなことをしたんだ.....誰かから恨みを買ったとか?いや...そもそも俺は働いてすらいないのでこの彼女以外ほとんど関わる人はいないし....

いや、待てよ。この現役アイドル横山美幸(アイドル名:花咲美幸)が、最近この俺と付き合ってることが文春でバレたとか!?それで俺に恨みをはたらかせたファンの人間が俺を失明させたのか?いや、有り得るぞ。嫉妬に狂った人間がお前は美幸ちゃんと釣り合ってない!と発狂してわざわざ俺のもとまで会いに行って目を見えなくさせたと。もうこれは確定なのでは?

「じゃあ私、この後事務所行かないといけないから、あとはお医者さんに任せるね。」

「あ、あぁわかった。気をつけろよ」

一瞬だけ開くその扉から漏れる隙間風が妙に冷たい。なにか、嫌な予感がする。

「あ、そうだ雪本さん。その目、義眼とか作りましょうか。お金をいただければすぐにその手の職人に連絡しますよ。実はこの病院、結構目の病気の方がよく来るんです。よかったらいいお店知ってるんですけど、どうでしょう?」

義眼は、やはり目が見えないと必須になってくるのか....やはり俺は一生目が見えないんだなぁと実感してくる。

「あ、あぁ頼むよ」

「では、20万円です。」

なっ...意外と高いんだな義眼というのは....

「僕のカバンにクレジットカードが入ってるので、財布を探して僕に渡してくれませんか」

「へい。了解しました」

「あぁ、それとついでに携帯も取ってくれないか?電話なら多少操作方法は覚えてる。」

いつでも、彼女に電話できるようになるべく手元に置いておこう。

「クレジットカード、ありませんよ。」

「は?なに人の財布勝手に漁ってるんだ。財布を渡せと言っただろ」

「へ、へぇ。すいません」

こいつ、ネコババする気か。とんでもなく怪しい野郎だ。だが幸い金は取られていなかった。

「どれ、お茶でも持ってきましょう。喉乾いてるでしょう?」

「あぁ、頼んだよ。」

あ、そうだ。クレジットカードの番号は美幸が管理してるんだっけ。使いすぎるから....じゃあまずは彼女に電話しよう。でも、あの怪しい医者が聞いていたらどうしよう....小声で喋ろうか。それでも不安だが。

「...もしもし?あの、ちょっと小さい声で話して欲しいんだけど....俺のクレジットカードの番号教えて貰えないかな?義眼を作るとかなんとか....」

「じゃあ明日また病院行くから、その時にね。電話で言ったら、聞かれてたらまずいでしょ?」

それは名案だ。採用

「じゃあそれで。頼んだぞ」

ツー...。

私は医者の戻りを寝て待つことにした。


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