録音テープ【 8 】
鬱・グロ・残酷描写を含みます。
魔法少女のイメージを崩したくない方は
閲覧をおすすめしません。
《録音テープの記録8》
お願い...この記録を聞いている魔法少女。
もう二度と、こんな...
私たちみたいにならないで。
私は今、施設から逃亡して
廃屋でこの音声を記録しています。
捕まるのは.....きっと、時間の問題だと思う。
私の身体にはGPSが埋め込まれてる。
もう、時間がないの。
お願い...お願い...。
この記録を聞いて、考え直して。
私ができなかったことをしてほしい。
皆を.......助けて.......。
ドンドンドンドンドン!!!!!
やめて!やめてよ!!
ガシャン!!
いや、いやだ...いやぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!!
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少女の断末魔と、
何かが壊れるような騒音が鳴って
このテープは静かになった。
俺は録音機の電源を切って
空を見上げる。
柵に囲まれた殺風景な屋上。
しかし、その隙間から見える夜空は
星々が煌めいていて美しかった。
「........。」
俺は魔法少女になった。
こんな男勝りの俺が魔法少女に?って
最初はそう思っていたけど、
幼なじみのリンがいてくれたから...。
世界の平和を守るため、
決心を固めたというのに。
施設から配布された
ワイヤレスイヤホンみたいな機械。
そこからカラカラと変な音がするもんだから、
試しに分解してみると
『色違いのタイル』と書かれた小さな紙が出てきた。
その文字の通り、
部屋の端っこにある
色違いのタイルを調べてみると.....。
「こんなビデオテープと録音機が出てくるからなぁ。」
そこからは有り得ないような
少女の悲痛な叫びが聞こえてきた。
...........あぁ、こんなことがあったんだな。
たくさん苦労したんだなって。
とても心が苦しくなった。
.....リンは昨日死んだから、
もう手遅れだったけど。
全部知ってる。
そして、明日俺は殺されるってことも。
選ばれた魔法少女3人は
もうすぐで19歳を迎える。
16〜18歳までの魔法少女。
その価値を失ってしまう俺たちは
もう用済みなのだろう。
リンの最期は思い出したくない。
「.....今日は、リンの誕生日か。」
今頃はリンの死体が
化け物に改造されているんだろうな。
もう一人の...名前はなんだったっけ。
その子も、どうなったのか知らない。
リンが死んで悲しくて悔しくて、
絶対にこのままじゃ終わりたくないって思った。
そして、俺は親しくなったカウンセラーを通して
政府の秘密を知った。
.......全部、もう知ってる。
遅すぎた。
遅すぎたんだ。
もっと早く知りたかった。
もっと早くこのテープに気づいていれば
リンが死ぬこともなかったのに。
俺は震える手で録音機をつけた。
空のテープを差し込み、
音量を調節する。
.....次こそは、次の魔法少女こそは
このおぞましい連鎖を止めてくれるように。
浅はかな願いを込めて、俺は話し出した。
「.......このテープを聞いている君に、
話したいことがある。
今から俺が言うことは全て真実だ。
.......どうか.....魔法少女を.....、
俺たちを.....救ってくれ.......。」
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TheEND