録音テープ【 7 】
鬱・グロ・残酷描写を含みます。
魔法少女のイメージを崩したくない方は
閲覧をおすすめしません。
《録音テープの記録7》
可愛いマスコットと契約を結んで、
キラキラした魔法を使って戦う
女の子たちの憧れ。
それが魔法少女。
私も魔法少女のことが好きだったし、
魔法少女のことをカッコイイヒーローだと思ってた。
でも、違った。
私たちが夢に見ていた魔法少女は
政府に檻の中で
飼い殺しにされる殺戮兵器でしかなかった。
カレンが死んだ。
カエデが死んだ。
私は一人になったけど、
魔法少女を辞めることはできなかった。
.....だから、最後に抗うことにした。
もう既に頭の中がぐちゃぐちゃで
気持ち悪くて
何もかも分からなくなってきてるけど...。
それでも、二人のことが大好きだったから。
私は魔法少女について調べた。
一人になった魔法少女は
危険性が低いと思われたのか、
警備が以前よりも薄いものになっていた。
何より、私の顔は見る影もなく
やせ細ってボロボロになっていたからね。
もう抵抗するだなんて誰も思わなかったんだろう。
だからこそ、このチャンスを掴めた。
決まった時間に診察に来る
医者らしき人をスタンドライドで殴った。
死んではないと思うけど、そんなのどうでもいい。
もう私はとっくに人殺しなんだ。
鍵とかカードとか
色々拝借して、私は部屋から抜け出した。
幸い、いつも診察に時間がかかるせいもあってか
なかなか気づかれなかった。
私は資料室と思われる場所に忍び込んで、
片っ端から魔法少女に関する情報を集めた。
いつから化け物は発生するようになったのか。
私たちの力は何なのか。
そもそもMAって何のことを言っているのか。
.............。
数時間かけて調べてやっと答えが見つかった。
私たちは騙されていたんだ。
魔法少女なんていない。
全部、偽物だった。
政府は国民を巻き込んでの大規模な実験をしてたんだ。
16〜18歳までの少女の脳髄液に含まれる成分。
それがMAと呼ばれる特別物質だった。
たった3年間のみ生成されるその物質は、
爆発的なエネルギーを生み出し
あらゆる分子を分解する力を作り出せる。
その実験として私たち魔法少女が選ばれた。
魔法少女なんて、笑えるよね。
実際はただの実験用ネズミだったわけ。
そして、あの化け物のことなんだけど。
やけにおかしいと思ってたんだよね。
都合のいい時にだけ現れなかったりして、
なにか仕組まれていると思ってた。
.....化け物たちは魔法少女の成れの果ての姿だった。
これまで死んでいった魔法少女たち。
彼女たちの葬儀の話が出たことがないから、
ちょっと変だなって思ってた。
国を救った英雄なら、
葬儀くらいもっとちゃんとするはずでしょ?
でも、私たちはそんなもんかって思って
特に気にすることがなかった。
...…………。
あれは.......。
う、ぅっ...、ぉ、う゛、っお゛ぇっ.....、...。
.............。
ごめんなさい、嫌なこと思い出しちゃって。
あの気持ち悪い化け物はみんな、
死んだ少女たちの死体を改造したものだった。
さっき言ったでしょ、
高純度のMAは爆発的なエネルギーを作り出すって。
肉体は破壊されて、
様々な形に変化するの。
芋虫みたいに内蔵の一部が膨れ上がったり、
皮膚が硬質化して紙みたいになったり、
体内の水分が酸化してぶくぶくになったり。
.................私は.....。
人を、仲間を、友達を、殺してた。
.............。
あ、は、ははは.......、は.....。
あははははは!!!!!!!
あれ、カレンだったんだー!!
やっぱり、カレンだったんだねー!!
あはははははははははははははははは!!!!!!
ふざけんなよ!!!!!!!
ひっぅ...ぐぅ...っうううう!!!!!!!!!
魔法少女って何!?
私たちが見ていたものって何!?
あれは.....何?
なんなの、なんだったの?
...................。
ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁあああああああ
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少女の壮絶な叫び声が響き、
録音テープはブツリと切れた。
.....次が最後のテープだ。
俺はそっと録音テープを入れ替えて
再生ボタンを押した。
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