録音テープ【 2 】
鬱・グロ・残酷描写を含みます。
魔法少女のイメージを崩したくない方は
閲覧することをおすすめしません。
《録音テープの記録2》
あ、あー、...聞こえてるかな。
私...あんなに変な武器や機械を使ってたのに
こんな簡単な録音機もマトモに使えないなんて.....。
.....気を取り直して、続きを話すね。
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ベッドでしばらく寝て過ごしていたら、
お母さんがお見舞いに来てくれた。
初めての任務お疲れ様って。
そう言って、優しく撫でてくれた。
私は家に帰りたくなって
子供みたいにわんわん泣きじゃくった。
...すぐ、面会の時間は終わってお母さんは帰って行った。
また必ず来るって言ってくれたけど、
私はすごく寂しくてずっと傍にいて欲しかった。
私、魔法少女なんだよね?
本当に世界を守るヒーローなんだよね?って、
ベッドの上で泣いていた。
どうして魔法少女なのに囚人みたいに
監視されて、学校にも行けずに
意味のわからない戦いに巻き込まれなきゃいけないんだ
ろう。
そう思って泣いてたら、
カエデとカレンが部屋にやってきた。
二人とも同じように寝かされていたようで、
目が覚めたら部屋に軟禁されていたって言っていた。
「ドアがずっと開かんくて、どないなっとんねん!って
思ってたんやで」
「.....あまりにも素敵すぎる待遇に驚いたわ」
カエデもカレンも口々に文句を言っていて、
なんだか安心して涙がまた出てきちゃった。
そうしたら、カエデが慌てて
「まだどこか痛むんか!?
医者ってどうやって呼ぶん!?」
って言って、カレンの肩を掴んでゆさゆさ揺らしてた。
カレンはすごく迷惑そうにしてたけど。
ちょっとおかしくて、笑っちゃったな。
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また砂嵐のザーザー音が邪魔をする。
このオンボロ機械め。
俺は軽く録音機を叩いてみる。
すると、ザーザー音が止んで
少女の声が聞こえてきた。
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私たちは満足に寝ることも許されなかった。
いつどこでも怪物は発生するから、
その度に叩き起されて戦わされた。
常に頭は寝不足でぼーっとして、
銃を使った時の痛みは日を追う事に麻痺していった。
2回目の戦いの時、あんなに泣いて嫌がったのに。
もう全然痛みも分からなくなって
ただ目の前の化け物を倒せば
寝られるんだ、休めるんだって思っていた。
カエデとカレンとも
トイレや食事の時に部屋から出されるから、
その時くらいにしか会話をしなかった。
お互い酷い顔をしていたな。
二人とも目の下にくまができて、
艶のあった髪もパサついていて別人だった。
目は濁って、死んだ魚みたいになってた。
顔色もすごく悪かった。
それでも私たちは馬鹿みたいに働かされた。
魔法少女、なんて夢みたいなものじゃない。
何度も遠くから呼び出されて
長い時間かけて現場に向かって
身体のあちこちが痛むのにそれさえ分からなくなって
言われた通りに銃を打って
疲労で気絶すれば
また次の任務で叩き起されて。
私たちは壊れていた。
何のために生きているんだろうって、
ずっと思っていた。
カエデもカレンも、口を開けば「帰りたい」しか
言わなくなった。
でも、私たちが魔法少女を辞めれば
世界はどうなるんだろう。
怪物にめちゃくちゃにされて、家族も友達も
全部全部なくなっちゃうのかな。
家族も友達とも
もうマトモに会えないのに、
どうして守らなくちゃいけないんだろう。
そして、私たちは3人で力を合わせて
施設から逃げる計画を立てたんだ。
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