カウンセラーの日記
【4月5日】
研究スピードがどんどん上がっている。
セリカちゃんの症状が悪化しているにも関わらず、
あの人たちは無茶ばかり...。
お友達がいなくなって
どんなに辛いだろうか。
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【4月7日】
セリカちゃんに話を聞いた。
どんな学校に通っていて、
どんな部活をしていたのか。
私はずっとこの子たちのことを知らなかった。
いや、知ろうともしなかった。
この子たちは人間だ。
生きている。
そうわかった瞬間、ごめんなさいって
とてもとても申し訳なくなった。
私は優しくなんかないよ。
セリカちゃんのこと、騙してるんだよ。
そんな悲しい顔で笑わないで。
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【4月12日】
カエデちゃんが亡くなった。
いや違う。
私たちが殺した。
わざとカレンちゃん.......だったものに
接触させて、カエデちゃんを処分した。
カエデちゃんは一ヶ月後に19歳を迎えるから。
.........もうこれ以上書きたくない。
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【4月16日】
セリカちゃんが変な目で見てくる。
私のことを責めているんだ。
本当は全部知っているんだ。
こんなことしたくなんかない。
でも、逃げたら殺される。
ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
私はもう戻れないんです。
セリカちゃんとまともに話せない。
この仕事を辞めたいけど、やめられない。
どうしたらいいの?
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【4月25日】
セリカちゃんが日に日に落ち着いていっている。
以前よりも症状が良くなった気がして、安心した。
あんなに暴れて癇癪を起こしていたのに
今は人が変わったみたいに、
ずっと窓の外を眺めて過ごしている。
仕事にも素直に応じるようになった。
どうしたのか気になるけど、
変に刺激しない方がいいだろう。
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【5月2日】
セリカちゃんの部屋を掃除していたら、
録音機を見つけた。
あまり人の物を触るのはよくないけど
気になってしまって、つい聞いてしまった。
そこには、魔法少女三人の……
カレンちゃんとカエデちゃんとセリカちゃんの
楽しそうな会話が記録されていた。
こんなの聞くんじゃなかった。
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【5月21日】
セリカちゃんに花火が欲しいって強請られて
とても困ってしまった。
ここは火気厳禁だから無理だと言ったのに
何度も駄々をこねられて
流石に私も手をつけられなかった。
あんなに暴れ回るなんて思わなかったから、
油断して怪我をしてしまった。
腕を軽く打っただけで済んで良かった。
今は精神安定剤と鎮静剤で大人しくなっているみたい。
どうして急に花火なんてしたがったのだろう。
明日、もし体調が安定していたら
セリカちゃんに聞いてみよう。
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【5月24日】
ようやくセリカちゃんと話すことができた。
立て続けに実験を行うなんて
どうにかしている。
セリカちゃんの睡眠不足が酷い。
食事もあまりできていないみたいで、
拒食症になりかけている。
しばらくは点滴で様子を見ないといけない。
ずっと気になっていた花火について
聞いてみたら、予想外の答えが返ってきた。
そんなの知らないって言われた。
自分がお願いしたことも忘れてしまうなんて。
暴れ回ったことも覚えていないらしい。
私の腕の怪我に気づいたセリカちゃんは、
とても申し訳なさそうな顔をしていた。
気にしないで。
私の方がもっと酷いことをしているんだから。
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【6月13日】
カエデちゃん、ごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
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【8月15日】
セリカちゃんが逃げ出した。
サイトウ先生の様子を見に行ったら、
部屋で倒れていた。
頭を強く打ったみたい。
サイトウ先生の所持品から
カードキーやその他の鍵が消えていた。
私は、サイトウ先生のことを伝えず
他の研究員にセリカちゃんは問題ないと言った。
嘘は食事の時間の時にバレた。
私は反逆者として捕まった。
セリカちゃん、どうか生きて。
生きて、このクソみたいな世界を救って。
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【8月30日】
私は明日死ぬ。
この日記は次のあなたに託します。
彼女たちは生きている。
モルモットなんかじゃない。
お願い、彼女たちを救って。
私は何もできなかった。
カウンセラーでありながら、
私は彼女たちの心を殺した。
次の魔法少女たちを.....。
ただの無垢な、普通の少女たちを
これ以上殺さないで。