9入団
夜和斗視点
いいだろう……………とは言ったものの、何の成果も得られないまま六日経過した。
「はぁ。ポチ、ぼくは冒険者になるしかないのかな……」
「ワン!」
ポチの鼻で犯人を捜せればよかったのだけど、ポチは走ることしか能がない。
くそぉ、どうやって犯人を捜せばいいんだ。
悩んでいるぼく。
田畑を荒らすチートなんて持っている人いるのか? イノシシの仕業じゃないのか? それか知渡子が犯人かもしれない。いやいや、他人を疑う時間があるなら証拠を探すしかない。
と、ローブを纏うヒトがぼくを囲ってきた。
これはヤバい匂いがする。
「少年よ、何を悩んでいる?」
「あ、いえ、冒険者になるか農夫になるか悩んでいまして」
「おぉ、冒険者か農夫か。それはどちらもツラいな」
「二つに一つで悩むならチート教団に入団してみないか? チートで世の中を綺麗にする簡単な仕事だ」
教団? 正直いって嫌だけど、ヒトの集まる所には情報も集まる。
と言うことで、潜入してみちゃおう。
「入団してみようかな……」
「ならばこのローブと聖書を君に送ろう。ようこそ、清浄チート教団へ」
案内をされるがまま、清浄チート教団の支部へ来てしまった。
「さあ、ここがチーターたちの楽園――清浄チート教団だ」
「チーターたちの聖地よ」「これで君もチーターの仲間入りだ!」
お父さんお母さん、どうやらぼくはチーターになったみたいです。
おじいちゃんおばあちゃん、こんなぼくだけど愛してくれてありがとう。
ぼくはこの教団で真実を知ることとなる。