54裏切り
夜和斗視点
砂漠探索の途中で事件は起こった。
「今日も特に何もない一日ねぇ」
「収穫はあったんじゃない? 砂漠地帯を抜けると次は凍土地帯だって分かったんだから」
中級冒険者には二つのルートがあると分かった。最初に砂漠地帯を攻略するか凍土地帯を攻略するかだ。
ぼくたちゼロは森林地帯を抜けた先が砂漠地帯だったというわけで、砂漠地帯を攻略することにした。
「暑さの次は寒さ、ほんと冒険者ってカラダ鍛えられるわね。というか他の冒険者は何やってるのかしら? 砂漠地帯にはモンスターが山ほどリスポーンしているってことは砂漠地帯ってまだ魔王の支配が行き渡っているってことでしょ?」
知渡子の言う通り、町で見かける冒険者は何をやっているのやら。
「中級冒険者って意外と少ないんですよ、低級冒険者で迷いの森を運よく超えたとしても、次に待っているのが砂漠か凍土なんで、耐性無いと町に着く前に死にます。運よく生き残ったのがおれっすから」
砂漠地帯や凍土地帯は、どうやら運よく生き残った者どうしでパーティーを組んでギルクエや依頼クエストや探索に挑むらしい。
「冒険者って過酷だね」まぁその冒険者はぼくなんですけど……いや、まだぼくペットのままだ。
と、歩いていれば、
「あ、あんなところに宝箱だ!」
「バカ夜和斗、あんなの罠に決まっているでしょ」
「まあまあ、罠なら罠でいいじゃない。何かあったら知渡子のチートもあるし」
「はぁ、バカ夜和斗ね。じゃあ開けてみてよ」
宝箱を開けたぼくたちは……罠にかかった。
足元の砂場が崩れ、どんどんと飲み込まれてゆく。
「なにこれ!?」
「蟻地獄みたいな感じです!」
『うわあああ!』
とぼくと知渡子とマヒトとポチは下の空洞へ落ちた。
「イテテ」
上に残っているのはロウしかいない。
「ロウ! ロープかなんかでぼくたちを引っ張ってくれないか!」
「ははははっ、引っかかったな。お前らとはここでおさらばだ!」
「え?」
ロウが裏切った? そんなことあり得るのか? 冒険者が冒険者を裏切るなんてあるのか?
「はあ? ふざけてないで助けなさいよ! わたしたちは仲間でしょ」
「仲間? おれは清浄チート教団のビショップだぞ。仲間だと――そんなのあり得ねぇよ」
「ならテレポートチートで……あれ? テレポートが使えないわ!」
なぜかは分からないが、どうやらこの場所では知渡子のチートは使えないようだ。
「その場所ではチートは使えない、ミイラになって死にな」
え? 本当に裏切られたのか?
「本当にこんなことしたかったのか! ロウ!」
「お前らに恨みはないが命令なので仕方なくやったまでだ。じゃあな! おばかさんたち」
ぼくに視線が集まる。そんなに見ないで、照れちゃうから。
「どうしてくれるのよ、バカ夜和斗」
ああ、ええと、ぼくがバカでしたとさ。