46交渉成立
知渡子視点
わたしたちは一度町へ戻り装備を揃えることにした。
「モンスターと人間の融合!?」
町長のチョウさんは驚いた。
「はい、そいつが地下水を奪っていた者の正体です」
「アンチチートも無効化するような奴です」
「ここは町のために上級冒険者を雇われてはいかがでしょう。ぼくたちではあのモンスター人間と渡り合えないと思います」
と言う夜和斗にわたしは、
「嫌よ! わたしが倒す。やられたらやり返す! 絶対に倍返ししてやる!」そう答えを出す。
「でもアンチチートが効かない相手だよ」と夜和斗。
「あんたバカ? この町を見てみなさいよ、上級冒険者を雇うだけの蓄え無いの見え見えよ」
「え、そうなんですか?」
と夜和斗はバカっぽく訊いた。
「知渡子様の言う通り、我々の町にはお金なんてありません」
「だからわたしたちがやってあげる! ――ただし」と、わたしは続けて、「倒して水が戻ってきたら、この町にわたしのギルド支部を建ててもらう! それが条件、上級冒険者を雇うよりか何倍も安いわよ」
抜け目がないのがわたし日堂知渡子。
「水が戻ってくれるならば皆喜びます。お願いします、我々の町にどうか水を」
交渉は成立したわ。あとはあのモンスター人間を倒すのみ。
「と、言う訳で――新しく装備を買いましょう」
《痺れナイフ:耐久力800 攻撃力250 スキル:痺れ 攻撃速度+200%》
「ぼくはこれにする」
「わたしもそれにするわ」
服も新調する。
「砂漠地帯は昼と夜の寒暖差激しいからなぁ、どうしよう」
「夜和斗にはこれがいいわよ! マヒトにはこれ!」
夜和斗の装備《軽装 防御力3000 スキル:瞬発力+15% 斬撃カット率+20% 暑さ寒さ共に激減》
さて、このくらいで装備はいいわね。
「これでやっと中級冒険者並みにはなったね」
「そうね」
「ということで、モンスター人間を討伐にしゅっぱーつ!」
『おぉー!』
わたしたちはまた地下へ入っていった。