41ギルドクエスト攻略
夜和斗視点
ぼくたちはまたギルドクエストへと帰ってきた。
「よし! ふたりともわたしへ続け!」とモンスターを無視してどんどん突き進む知渡子。
どうやら敵意を向けなければモンスターは襲ってこないらしい。
「凄い、モンスターが知渡子を避けている」
と、思ったら……知渡子は全速力でこちらへ走ってきた。
大量のモンスターを引き連れて……。
「何してるんだよ知渡子!」
「知らないわよ!」
――どうやら強いチートを持つ者はモンスターの大群に襲われるらしい。
次の日、
「だったらぼくが行く!」
「夜和斗! 生きて帰ってきてください!」とマヒト。
「ああ、ぼく、帰ったら結婚するんだ」
「縁起でもないこと言ってないでさっさと行きなさい! バカ夜和斗!」
次のシーンでぼくはモンスターに追いかけられた。
――どうやら弱いチートを持つ者はモンスターの大群に襲われるらしい。
次の日、
『じゃあマヒト!』とぼくと知渡子は声を揃えた。
――どうやら普通のチートを持つ者は襲われないけれど、敵意を少しでも向けると大群に襲われるらしい。
そして、次の日、
マヒトしかいない。
「わたし、敵意を向けないように頑張る! でもモンスターが怖い奴だと敵意向けちゃうよ……」
「大丈夫、マヒトならできる」「あなたしかいないわ!」
ぼくと知渡子は激励した。
「うん、わたし頑張る。頑張るから夜和斗――これが終わったらお買い物付き合ってね」
もちろんだ。とぼくは言う。
よし、作戦はこうだ。
ぼくと知渡子がモンスターのヘイトを稼ぐ。その間にマヒトがモンスターのリスポーン地点の森林へと入る。
そこでマヒトが何かを発見できれば収穫ありだ。
マヒト、絶対に敵意を向けてはいけないぞ。
強い風が吹き抜けた。
「今日のぼくたちは一味違うぞ!」
「かかってきなさい! モンスター共!」
ぼくと知渡子は武器を構えた。
「アンチチート発動!」
モンスター共のチートは無効化された。
モンスターのリスポーンは激しさを増す。
「圧縮領域展開、零ノ威光!」
ぼくの領域内でモンスターは最弱になった。
モンスターのリスポーンは激しさを増す。
「知渡子!」「夜和斗!」
『ポチとの訓練を思い出せ!』
あのポチとの散歩、あの持久力を維持できればモンスターがどれだけ来ようとも耐えられる。
『ポチ! あなたに感謝します!』
「ワオーン!(頑張れ御主人、知渡子、マヒト)」
ポチは遥か後方でぼくたちを見守っていた。
どうやら一緒に戦ってはくれないらしい。
「いけー野郎ども!」
『うおぉぉぉ!』
と、ぼくたちの他に大柄な男のパーティーが加わった。
「知渡子の姐さん! おれたちも使ってくれ!」
「分かったわ! 死ぬまで戦えバカ共!」
知渡子の応援チートが発動した。
『うおおおぉぉぉぉ!』
マヒト頼む! 何かしら収穫を!
ぼくたちはモンスターの大群と戦った。
今までにない大規模な戦いだ。まるで戦争のような光景が広がっている。
「マヒト!」「マヒト!」「マヒトの姐さん!」
ぼくたちの応援はマヒトに届いているのか?
それはマヒトにしか分からない。