39迷いの森の魔女?
鍛冶師のマヒトもパーティーに加わったこともあり、森林地帯で野宿もするようになった。
鍛冶スキルを持っているマヒトがいれば、武器耐久力の消耗は関係ない。
あとは魔女さえ見つかれば文句なしなのだが。
進んでいるようで進んでいない。迷いの森は変わらずにぼくたちの道を阻んでいた。
「まったく、今日も何もない森ねぇ」と知渡子はつまらなそうに言った。
「早く攻略したら今度は『手ごたえ無かったわねぇ』とか言うんだろ」
「ペットのくせに生意気言わないで!」
「はいはい、ぼくはペットですよぉ」
ぼくもぼくで進歩の無い森林探索にイライラしていた。
「ペットだったら水くらい見つけなさいよ! わたし喉乾いた」
「あ、そういえばさっき川があったなぁ」
「川の水なんか飲めないわよ! 竹切ってきなさいよ! 竹!」
「竹はたけ―」とぼくは何の考えも無く言った。
「バンブーバンブーバンブー……バブー」
迷いの森に入ってから、ぼくたちの頭は着実におかしくなってる。
「あの、そろそろ休もうよ」と、ひとりだけまともなマヒトは息を荒立てて言う。
マヒトは自分の要望も言えるようになっていた。着実に成長している証だ。
「うん、そうしよう」
「しょうがないわねぇ」
休憩中のぼくたちは特に話すことも無く、テンションが低かった。
「ちょっとぼく辺りを見回ってくるよ」
「ひとりで迷わないでよ」
「大丈夫、大丈夫」本当は用を足しに行くだけだから。
ぼくは小さな泉へとやってきた。
水があるよ、とぼくは知渡子とマヒトを呼びに行こうとすれば、
「誰かいるの?」女の人が水瓶を持って現れた。
(ここは入浴シーンが一番テンプレだと思う)というのはぼくの裡にしまっておこう。
「あの、もしかして魔女さんですか?」
「違いますけど」
――違うんかい!