37ポチの日常
ポチ視点
――ある日、ポチは考えていた――
大災禍の日にわたしことポチは、御主人こと世輪背川夜和斗様に拾われた。
あれからもう十年かぁ。早いなぁ。
わたしも大きくなったし、御主人も大きくなったなぁ。
そういえば、わたし最近出番少ないなぁ。
「ワン!」あ、御主人が起きた! 御主人御主人 あのね、今日の朝ね、知渡子がわたしにご飯運んできたんだよ。
「ポチほらご飯だよー」
「ワン!」やったー二度目の朝食ゲット。
「ワン!」マヒトってご主人のこと好きなんだよね?
「どうしたのポチ? お腹減った?」とマヒト。
「ワン!」マヒトって御主人のこと盗撮してたよね。
「よしよし良い子良い子、じゃあ乾燥させた牛肉をあげよう」
「ワン!」マジで? ありがとうマヒト。夜和斗には黙っといてあげる。
「ワン!」御主人、あのねマヒトって御主人のこと好きなんだよ。その好きっていうのは愛してるって意味で好きなんだよ。日本語って難しいよね。
「どうしたのポチ?」
「ワンワン!」マヒトのことなんだけどね、御主人のこと盗撮してたよ。
「そっか、散歩に行きたいのか」
「ワンワン!」あ、散歩行くの? やったー! 散歩だ散歩だー!
「ちょっと待ってポチ、ぼくもう疲れた、死んじゃうよ!」
「ワン!」うわーい、全然疲れないやぁ、というか御主人わたしについて来れるとは凄い! やっぱり御主人こそが御主人なんだね。
「ワン!」御主人御主人、わたしの勘だけどね、御主人に対して知渡子はツンツンしてるけどほんとはもっとデレデレしたいんだよ。
「ごめんポチ、今日の散歩は終わりにしよう」
「ワン!」御主人は女の子の心分かってないよね。鈍いよね。頭も悪いよね。
「ワンワン!」御主人って知渡子のペットになったんだよね。御主人とお揃いの首輪、ポチ嬉しいであります。
「ワン!」御主人! 危ない!
「おお、皿われなくてよかった。ありがとうポチ」
「ワンワン!」いえいえ、わたくし御主人に命を与えられた身、我が身御主人と共にあります。
今日も楽しい一日でした――ポチより