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夜和斗視点


「助けて!」

 マヒトの声はぼくに届いた。

 助けて、ただそれだけの言葉がぼくの胸に突き刺さった。

 

 昼間なのにまた夜がくる。



 領域武装、其之一、神武闘錬――この領域内では、ぼくの武器は他の武器の性能を上回る。

 つまり、相手がどれだけ強い武器を装備していようがぼくの持つ武器はそれを超える武器になる。


「助けるに決まっているだろ!」

 ぼくは逃げない。君を諦めたりはしない。君が謝る必要はないんだ。


「なんだこの空間は? 真っ暗で何も見えやしねぇ」

「仕方ねぇ。聖剣の光で照らしてやる」名無しモブ男は鞘から剣を引き抜いた。

「それで聖剣? 小さい光だね、そんな光でぼくの領域内を照らせるのかい?」ぼくは言う、悪意を持って。


「黙れ! 調子に乗るな!」

「君はチート領域を見たこともないだろ? だから焦っている。見たこともないチートをどう攻略するのか考えている」

「黙れってんだよ!」


「君の持つ聖剣はぼくの武器より弱くなる」

「ほう、例えば? こうか!」

 と、聖剣を振り下ろしてくる男。

 ぼくはそれを木の棒で粉々に砕いてやった。

「はぁ!? 俺の聖剣が粉々に……」

「元々の持ち主は君ではないだろ。君は剣に使われていたんだよ。だから粉々になった」

「クソガキが!」


「野郎ども! おれに最強装備を!」

 名無しモブ男の持つ鎧、盾、剣、それぞれの装備は上級冒険者の装備だった。

「武器が最強なら盾はどうだ?」


 残念だよ――

「――領域反転、盾之型」

 ぼくの持つ木の棒は男の盾を粉々にした。

「んな!?」


 男は魔王を見たような顔をして後ずさりする。

「盾が壊れてしまったみたいだね、これでは守りたい者も守れない」

 ぼくは一歩踏み出す。男は一歩下がる。


「このチーターがあぁぁ」

 男が剣を向けたのは……ぼくではなくマヒトだった。

「領域反転――剣之型」


 ぼくは男の持つ武器を砕いた。男は尻餅をついた。


「これ以上マヒトに関わらないでくれ、マヒトはぼくたちゼロのパーティーメンバーだ」

 ぼくは木の棒を名無しモブ男に向けた。


「ふざけやがって! ふざけやがって! ふざけやがって! このチーターがぁ!」


「あなたのチートは弱いね。チート領域にも達していないチートはぼくに効かないよ、いや、その領域に達していたとしてもまだ足りない」

「なんだと? 俺様をバカにしやがって!」

「なら来なよ、チートの使い方を教えてやる」


「クソおぉぉぉ!」

 男は向かってきた、武器無しで素手の勝負を挑んできた。

「領域乖離――零ノ威光」

 ぼくは男を本気で殴った。自分の手が痛くなるほどの勢いで殴ったのこれがは初めてだった。

 男は白目をむいて気絶した。


 名無しモブ男の仲間は名無しモブ男のカラダを持ち上げて、

「すみませんでしたー!」

 と、どこかに逃げてしまった。


 これで一件落着だ。


「マヒト、ぼくたちのギルドに来なよ」ぼくは手を差し伸べた。

 マヒトは涙を流した。


 マヒトはぼくを抱きしめてきた。

「夜和斗――ありがとう」

 マヒトは笑った。




 お父さんお母さん、ぼくは仲間を笑顔にできました。

 おじいちゃんおばあちゃん、仲間との絆ってこうやって生まれるんだね。



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