表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/66

32鍛冶師の夢

夜和斗視点

 ぼくはマヒトについて訊きたいことがあった。

「マヒトって何歳?」

「十六だよ」

「あ、じゃあぼくの方がお兄さんだ。だってぼく十七」

「え、夜和斗は十五歳くらいかと思ってた」

 あはは……年下にみられていたのか。もしかして頭脳的に?


「マヒトは夢って持っている?」

「夢?」

「そう、例えば最高の鍛冶師になるとか」

「……ぼくは――【魔王を倒す武器を打ちたい】」

 マヒトの目は輝いていた。少年や少女のような輝きをしていた。


「魔王を倒す武器を打ちたいか。それがマヒトの夢なんだね」

「うん、ぼくは鍛冶師だから……戦いには加われないと思うから、その代わりに武器を打ちたいって」

 マヒトは素直な子だ。十六になったら普通は恥ずかしくて夢なんて語れないだろう。でもマヒトは素直に話てくれた。


「ぼくだけの夢じゃないんだ、みんな夢の話をしなくなったけど、鍛冶師はみんな魔王を倒す武器を打ちたいって思っているんだ」

「そっか、ぼくの夢は魔王を倒すことなんだ」

「え、そうなの?」

「うん、幼い頃からの夢なんだ。十七になってもまだ諦めきれないって、それで色々とあって知渡子と冒険に出た」


「夜和斗は知渡子のことが好きなの?」

「え!?」

 いや、どうだろう……知渡子は性格キツイからなぁ。でも友達としては好きかな。

「まぁまぁかな?」

「そっか、よかった」

 え、何がよかったんだ? ああ、パーティーの仲が良くてか。


「あ、そうそう、ゼロってパーティー名かっこいいと思うよ」

 と、マヒトは急に話題を変えてきた。

「そうだよね! かっこいいよね! でも中二病だとか周りから言われるんだ。知渡子は気にしなくていいとか言うけど……なんか中二病って言葉がイメージ悪い感じ」

「ぼくは気に入ってますよ、ゼロ」

「ありがとうそう言ってもらえると自信が持てるよ」


「よっしゃー!」と急に大声を上げる知渡子。

「スライムを倒したわ! わたしってやっぱりできる子なのよ!」

 なんかひとりで盛り上がっているようだ。

「知渡子ー、組手しようよ。ね、マヒトも組手やろう」

「え、ぼくはその」

「いいから、仲間ならお互いを高め合わねばならぬよ」

「じゃあ、やろうかな……」




 ただの会話だ。不自然なんて無くて、ただただ友達とのたわいのない会話。

 なのにマヒト、どうして話してくれなかったんだ……

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ