表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/66

15最強の願い

知渡子視点

 わたしの前には教団の連中が現れた。

 あのザコとかいう奴が教団側にチクったのだろう。わたしを前に高みの見物とは良い度胸だ。

「チートは良いぞぉ、見てみなさい、みんなに観られながらの羞恥プレイなんてたまらんだろ。考えただけでアカンことになるに決まっている」

 と、清浄チート教団のヘンタイ野郎は言う。

「チートは良いぞ、チートは良いぞ、貴様のチートが欲しいぞ!」

 どうやら他の奴らもヘンタイらしい。


 まあ、どうでもいい。かかってこいヘンタイ共。


「領域封印」

 と、わたしがアンチチートを使おうとした瞬間――出せなくなった。

「――残念ながら俺様のチートはアンチチートの完全対策だ。つまりお前のアンチチートを完全無効にする。この領域を極めるのにどれだけの時間がかかったことか……しかしここで貴様のアンチチートも終わりだ!」

 わたしのアンチチートを無効化? 領域ってチートの上位互換な訳?


「アンチチートの娘を捕らえろ!」

「バカねぇ、わたしが使えるのはアンチチートだけじゃないのよ!」

「アンチチートだけじゃないのは分かっている、だから――」

 と、モブ共が登場するや否やチート領域を展開させた。

『チート封印式――七常無常!』


「ぐっ!」

 わたしのチートが縛られる。属性チートはもう使えない、アンチチートも領域とやらで封じられている。

 詰みか。


 ああ、わたしの人生って短かったな。高校二年生か。もう少し生きていたかったな。

 でも、あちら側に行ったらお父さんとお母さんに会えるんだ。そっちの方がいいかも。

 はぁ、夜和斗は逃げれたかしら? もし捕まって殺されてたら、天国でも地獄でも恨むわよ。

 

 わたしこと日堂知渡子は、魔王を倒すことはできませんでした――これは良い物語になりそうだ……いいや、駄作だな。

 

「知渡子!」

 と、光がわたしを照らした。


「どうして……」

 わたしは泣きそうな顔をした。

「どうして戻ってきたのよ!」


「ぼくは英雄になりたいからだ!」


 そうだ、わたし、本当は助けてほしかったんだ。

 強い力を持って生まれて、強い力で誰かを助けて……強い力で誰かを傷つけてきた。

 わたしは何でもひとりで出来た。

 ひとりで出来ることが当たり前で、なんだか虚しかった。

 何でもひとりで出来たのに、夜和斗が笑顔を教えてくれた。わたしなんかが笑っていいことを知った。

「だったら夜和斗……わたしを助けて」


「チート領域展開!」

 夜和斗の生み出した領域内にすべてが飲まれてゆく。

「領域乖離――零之威光」

 夜和斗の領域内は暗黒が広がっていたけど、わたしだけは光のように夜和斗の領域内を照らしていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ