10チート教団
「我々はチート神に選ばれたチーターだ! 右の頬にチートを使われたら左の頬にもチートを使われよ。汝チートを愛するならばチートに使われ朽ちよ…………」
清浄チート教団支部教祖の話は長かったしチート級に意味が解らなかった。
「では解散だ! 今日も良きチートを!」
『良きチートを!』
やっと終わった。特に大したこと言ってなかったな。事件にも関係なさそうだし……じゃあぼくどうしよう。本当に教団でチーターやる羽目になるのかな、というかぼく新人だから何をやらされるんだろ? トイレ掃除?
と、考えながら歩いていたら、
「きみきみ!」ぼくの班の班長だ。
「え? ぼくですか?」
「そう君だ、日堂家の御令嬢と幼馴染なんだって?」
「あ、はい。でもそんなに仲良くありませんよ、教団に誘っても入ってくれるか分かりませんし」
いや、知渡子とは仲悪いな。だっていつもぼくのことをイジメてくるんだもん。
「そうか。だったらいいんだ。では今日も良きチートを!」
「は、はい。良きチートを……」
教団内部では序列があった。キング>クイーン>ジャック>ビショップ>ナイト>ポーンという順だ。
ぼくは一番の下のポーンだ。この序列がどのように決まっているのか分からないが、たぶん世の中を清浄に出来るチート順だと思われる。
そんなことより、ぼくには田畑を荒らした犯人を捜すという人生最大の岐路がある。
このまま犯人を見つけられなければ、ぼくは知渡子と冒険をする羽目になる。犯人を見つけ出しても教団でチートを使う羽目になるだろう。
って、どっちも嫌だなぁ。
というか教団って何をやればいいんだ?
「新人というのは貴様だな」と、ローブの頭巾で顔を隠す人物は話しかけてきた。
「はい、そうです。ぼくは夜和斗と申します」
「わたしの名はザコだ。教団内の序列はナイト」
「ザコさんですか、それで何か?」
「それで、さっそく教団の仕事をしてもらう」
そう言われてぼくはゴクリと唾をのんだ。これで教団が何をやっている組織なのか分かる。
「教団での最初の仕事、それは――」
その内容を聞いてぼくは驚いた。