10話
10
(公開処刑)
先回のコンビニデートからの週末。
「え~っと、この状況は、どういう事かな?ミヤ ミィちゃん」
開口一番、ミヤの父 雅人が口にした。
続いて。
「説明してくれ、ミィ」
今度はミィの父 政士も口にする。
只今この状況は、石仲家と浜家が”はまちゃん”の店舗の席で顔を合わせている状況である。
時刻は21時過ぎ、今日は早めに店をしめて、ミヤとミィが両親同士を合わせて、例の “一大決心” の報告をする日だ。
この日のために、二人は二家族の話し合いの場所と時間をセッティングして、今に至る。
なのに、すぐ後ろの席では美沙もいる。何か、ワクワク感の顔をしている。
(こいつにはすでにバレているからな)と ミヤ。
そう、美沙には以前に部屋で、二人濃厚なキスシーンを見られてしまった経緯がある。それ以外にも、二人っきりで良く会っている所も....。だから、先に 美沙には二人から交際をバラシている。
しかも、美沙は時々だが。
「早くわたしのお姉ちゃんになってね」
と、煽られることも度々あった。
ふう!!((二人 汗!))
なんという爆弾を落としてくれるんだ、妹よ....と、思っているミヤだが、(でも、いつまでもこんなんじゃあいけないよな)とも、思う。
そんな時、入り口の扉が開いた。
「お!そろそろ始まるかな?」
「そうみたいね」
浩二と真由だった。
美沙の連絡により、今夜9時から “第2次公開処刑” が始まるから、見に来てね!との連絡が真由にあった。
「えぇ!!そんな、何で来たの?真由ぅ....」
ミィが悲痛の声だ。
「浩さんまで、このタイミングは何ですか?」
「いいだろ?この前、お前たちに言ったよな。この次はお前たちだと」
「うわっ!!そうだったぁ..。美沙、お前の仕業だな?!」
美沙は 「べぇ~....」と、舌を出し、プイっと(知りませ~ン)って顔を逸らした。
「くぅ....」
「あわわわ....」
二人は諦めた。もうこの状況になったからには、もう覚悟はできた。だからミヤは切り出すしかなかった。
だが両家の父親たちは、今だに ? が頭に浮かんでいる。
それを横目に、ミヤは。
「ふぅ~....」
と、一度深いため息をした。
「では改めて....」
と、ミヤが切り出す。
「実は....」
それと同時に、両家の母親は、手を胸の前で握り合わせ、しかも、目....、目がキラキラとしている。
(はは.....、すでに母親たちは悟っているな......、はは....(作))
「あはは.....」「えへへ.....」
と ミヤとミィが照れる。
何と、その後ろでさらに、目をキラッキラ‼ にしている、妹 美沙がいた。
(何か、やりずれぇな、妹よ....(ミヤ))
それでも、一大の決心をして口にする。
そして....。
「実は....」
「実は、オレたち付き合っていまして、(言ったぁ....!!)もう7年になります」
「「まぁ!」」
と 両 母親。
(何となく知っていたくせに...... (作))
「今まで黙っていてすみませんでした」
「私もごめんなさい、言わなくって....」
「..........」
「..........」
「うん?......」
「え?......」
「え...、と」
と、ミヤ。
「..........」
「..........」
さらに.....。
「どうしたの?みんな......」
と、ミィ も。
すると、ふ~....、と大きなため息が父たちから起きて。
「なぁんだ、そんな事か」
と、雅人。
「ふぅ~ん...、で?」
と、これまた政士。
でも、母親たちは。
「やっとね!」
と、声を揃えて、握っていた手を放し、ハイタッチをしていた。
「どう言うこと?」
と、ミィが訪ねると。
「どうもこうも、いつまで待たせたんだ!!」
と、雅人からのイライラ声がする。
「今更分かっている事を、改めて言ってるんだよな?」
と、政士からも一言。
後ろで美沙が真由とともに 「あははは....」と笑い始めた。
浩二は 「クククク....」と笑いを堪えてるが、しっかり漏れている。
「何で?美沙ちゃん....」
「どうした美沙!」
すると美沙が
「もう!ホントに鈍い二人なんだから....」
続けて
「あのね、もう、バレバレなんだよ~、お兄ちゃん」
さらに
「ずぅ~と前からお兄ちゃんと ミィちゃんが付き合っている事くらい、バレッバレだったんですよ~」
「だって、あんな分かりやすい密会(密会?)しといて今更“友人”とか“幼馴染”だけの関係なんて有り得ないし、大体いつも皆に断ってから会ってるし。普通に考えて、これってバレバレだと思わない方が不思議だと思うよ?」
「「ひゃぁ~!....」」
波長を合わせた変な声を出す当人の二人。(ナイス!ハモリ)
とたんに、二人とも顔が真っ赤っかになった。
言われてみれば、そりゃそうだ。
ミヤがいつもコンビニにミィと一緒にいるのも、良く互いの家に出入りもしていたら、普通分かるもんだ。それで、ただの 仲の良い友達です、なんて、まぁ あるにしろ、それって何かしら、おかしいって事になるってものだ、普通。
「美佐子さんと、何時になったら公表してくれるのかしらね....、なんて話していたのに、なんと7年もだったとはね」
とまで、恭子に言われた。
「ココ4~5年前くらいから、何となく恭子さんとは気が付いていたんだけど、7年は知らなかったな~....、ミィ」
と美佐子。
「お、お母さん。黙っててごめんなさい」
「でも何で今まで言ってくれなかったの?」
今度は、恭子が聞く。
「ごめんね。なんか言いづらくって、みんなに言わなければと、二人で話し合っていても、一度タイミングを外すと中々報告が出来ずに、結局言い出すのが遅れてしまって....」
「ほんと、ずいぶんだな」
雅人が言う。
「ごめん父さん、ごめんなさい」
「....で、ミィはこれからどうするんだ?」
政士がミィに尋ねる。
「どうって??」
「7年も付き合っていたのなら、その後は...、と言う事だ。ミヤくんはウチの娘をどうしようと思っているか、はっきり聞きたいな、そのために、今日この席を作ったんだろう?」
「ぐっ....、はい、そうです!」
「そうだミヤ、俺もそれが聞きたい」
と両父親が聞いてきたので。 ミヤはミィの手をテーブルの下で握りながら。
「はっきり言って(ミィ の目を見ながら)二人、「結婚がしたいです!」」
最後は二人がはハモった。
「よっしゃぁ! やっと言ったぁ!」
と美沙が叫ぶ。
その瞬間、ミィの目から大粒の涙が流れ始めた。
「あれ? どうしちゃったんだろ私、なんで?....、あれ?美沙ちゃんも....」
「お前も泣いてるぞ、美沙」
ミヤが言うと。
「あれ?ほんとだ笑ってるのにね、えへへ....」
「おいおい!泣くなよ」
雅人が二人を見て言う。
後ろで見ていた真由にも、目が潤んでる。
浩二は「よしよし」と頷きながら、小声で言っている。
△
ひとしきり泣いたところで、母親たちが言った。
「ところでだけど。 ねえ、あなたたちプロポーズはしたの?当然まだよね。公表したばかりだから」
ギクゥ...!!と、二人の肩がビクついた。
「そうそう、それ、肝心な事よ!」
両の母親から鋭い所を突かれた。
先日のコンビニで初の”結婚”という言葉が出て以来、実はプロポーズ自体はまだだった。
「それはまだ...、でも、近いうちには...」
「もう、この際だから、皆の目の前で、恥かいちゃいなさい」
と、恭子。
この “プロポーズ” という言葉に、美沙が妙にハイテンションで反応する。
「わぁ!私今からその瞬間が見たい!!」
続けて
「今からお願いします、ココで!」
両家の母親たちから、早よせよ、と言わんばかりにはやし立てられる。
「「な!....。ココで??」」
言葉がぴったり合った二人。(さすが7年)
今度は二人の顔が赤くなった。
そうして美佐子が。
「もうこの際だから、今日ですべて終わらせたら?」
と追い打ちをかける。
「お、お母さん、面白がってない?」
「ないない....」
(これは相当面白がってるな、みんな)
とミヤは思ったが、でも、恥ずかしいのは今日だけにしたいので、もうこの際、改めてこの フル家族+ の前で“公開処刑”を受ける事にした。
(奥で、ミィの祖父 祖母とも部屋から遠目でみている)
「ミィ、今大丈夫か?」
「えぇ....?」
とは言いつつ、ミヤと目を合わせて。
「この際だ、覚悟を決めよう、ミィ......」
ミヤの言葉に、この機会を逃したら、もう一度この様な事をしなければならないと思うと、この日だけにしたいと思うミィなので。
「うん」
と、了承の言葉を言った。
周りの誰かが、唾を飲んだ音がした。(だれだ!)
ミヤが決意した面持ちになり。
「じゃあ、言います」
今度は自分が ゴクっと唾を飲んだ。そして...。
「浜 雅さん、25年間生きてきて、幼い頃から出会ったあなたに、心の底から惚れ続けています。この気持ちに揺らぎは一切ありません。だから、今後の人生をオレと一緒に生きてください!」
言った、言い切った、さらに。
「こんなオレだけど、結婚してください!」
(うわぁ、言ったよ~オレ......)
頭を上げミィを見ると、頬に伝わる涙をポロポロと流しながら...。
「はい!あなたと結婚します。大切にしてくださいね」
涙声だった。
「きゃぁ~!!」
っと美沙が悲鳴のような声を上げた。
「うんうん...」
と真由もうなずきながら涙顔になっていた。
しかし、浩二は違った。
ニマニマしながら”先日の仇を討った”みたいで、満足の顔をしていた。
ココだ! と思ったミヤが、ズボンのポケットを弄って、小さな濃紺のケースを取り出す、それをミィの前に出して、ケースの蓋を開けた途端...。
「うそ......。ミヤ、これって......」
「この時のために、先月買っておいた。まさか、こんな人が多く居るところで、出すとは思っていなかったけど...、あはは......」
「そ、そんな...、うれ...、うれしい...、うれしいよ~.....みやぁ~......」
それを見ていた浩二が、はやし立てる。
「ほぉ...、ミヤ、やるじゃないか」
「このタイミングしか無いですからね。」
と、ミヤが決め顔で言う。
「うん!! いい男だ!」
真由も続いて。
「ミヤ、カッコいいよ、素敵だよ!。 ミィ、良かったね、ホントに良かったね」
「うんうん...、うわ~ん...」
半分涙声だ。
「ミィ、左手出して!」
泣きながら、ゆっくりとミヤの前に左手を出すミィ。
ケースから、指輪を取り出し、ゆっくりとミィの薬指に通していく。
嵌め終わった後で。
「みやび、どう? コレでオレからは逃げられないよ」
そのミヤの言葉に、漫勉の笑みで、ミィが言葉を返す。
「逃げる気無いもん! ずっと纏わり付きまくるもん!」
「まとわり......、それって、すげぇ嬉しんだけど」
見ていられない状況が、二人の間で繰り広げられる。 傍で見ている者たちは、たまったもんじゃない。
美佐子がたまらず二人に向かって
「さっきから、もう! あなた達、二人の時にやってよ! 見ていられないわ...。ほんっとに羨ましいったら...」
「「「「「「???」」」」」」
周りの視線に気が付いた美佐子が、若干だが羞恥した表情をして。
「あら、私とした事が...、ちょっとホンネが...、おほほ~......」
「分かるわぁ...。雅人さん、でも、何かちょっとムカつくわね、このラブラブ度...」
「そんな事を言うもんじゃぁないよ恭子。素直に祝福してやりなさい」
「冗談よ。 みやび、良かったね、思いが現実になって」
両親のこの言葉に、ミヤは安堵した。
「本当にみんな、ありがとう」
その後も皆から、大きな拍手とともに、「おめでとう、よかったね」の言葉が店内に響いた。
当然!その後は宴会になったのは、言うまでもなくだが。
(よかった、終わったぁ~。でも、公開処刑 はメンタルには厳しかったなぁ.....(ミヤ))
△
宴会が終わり、解散して、今は2階にあるミィの部屋だ。
もうあの 公開処刑告白 から、HPがほとんど残っていないミヤを、ミィが自分の部屋で膝枕をし、頭をなでながら回復させているところである。
「ミヤ、頑張ってくれたね、ありがとう、私とっても嬉しかったよ」
光る指輪側の手で、優しくミヤの頭を撫でるミィ。
「オレ、一瞬 幽体離脱したようなタイミングがあった」
「まさか?」
「ホント、自分を上から見たもんな」
「ほんと??」
「ウッソぉ~!!」
「もう!.....」
「..........」
「う~ん、大分回復したよ」
と、ミヤは起きざまに、一度ミィのお尻を撫ぜた。
「...っ! 回復しすぎ! ほんとにもう!」
「だって、ミィが可愛いからだぞ」
「そんなの理由になってませ~ん」
「じゃぁダメか?」
「ミヤ...、ならいいよ」
「ほらね!」
こんなチョバカップル(超バカカップル)みたいな事も、二人は楽しい。
□ □ □
まるで身内ハラスメントみたいな週末は終わり、そしてまた新たに日々が始まる。
「ミィ」
「なぁに?」
「ふふ...、かわいいな」
「な...、またそんな事言う...」
「ミィ...」
「な、なぁに?」
ガバッとミヤがミィに覆いかぶさる。
「きゃん!」
「何だ、その声...、カワイイ」
「ずぅっと、こうしていよっと...」
「ミヤ、く...、くるしいからちょっと離れて」
「や~だよ。ピトッ...」
「ピトッ...、じゃない。もう会社に行く時間がくるわよ!」
「有給 取っちゃおうかな~」
「..........」
「今日一日、一緒に居ようかな~」
「..........」
「も、一回寝よ」
「........、早く行きなさい!!!」
「は、はい!!」
最近はこんな生活ぶりである二人。
現在この状況は、どういう事かというと。まだ二人、結婚はしていなく、相互の家にて、時々お泊り生活をしている。
「もう、親公認だからって、いい加減にしなさい!」
「わ~...、最近ミィが キョワイ」
「何言ってるの! ちゃんと社会人らしくしなさいミヤ」
「よし! じゃあ、週末まで頑張って働いて、この週末、ウチの両親、一泊での小旅行だから、その時、思いっきり抱かせてください、ミィさん‼」
ほっぺたを抓られた。
「いって~...!」
「物には、言いようってものがあるでしょう。なに?その下品な言い方....、しらないわよ、プン」
「お、怒った?.....、怒ったのか?」
「だから、知りませ~ん」
「そうか....。じゃぁ 諦める...、ごめんな」
「え?....、(そこで諦めちゃうの?)」
「え??.......」
「えぇ??.....」
「..........」
「..........」
「...............」
「.....................」
「い、いやだぁ~...、ミヤぁ~...、怒らないで、もう 好きにしていいからぁ....」
「ホント?(よし!作戦にひっかっかったな、ふふ...)」
「でも、週末だよ」
「分かった」
「でも、美沙ちゃんが居るでしょう」
「ああ、あいつなら、何か彼氏達と深夜までカラオケに行くらしいぞ」
まぁ、タイミングの良い事。 まるで小説みたい.....。
(小説だから... (作))
でも、いいな、若いって....。
(とりあえず、笑うしかありません。 ははは.......(作))
(C)編 終わり
あとがき
この小説をお読み下さった方々、ありがとうございます。
(A)編から始まった“雅と雅”ですが、やっと(C)編まで来ました。
学生から社会人になり、婚約までした二人。
一つのカップルの出来事を書き綴ったこの内容ですが、何げない日常を描いています。
お読み下さった方々も、何の変哲もない内容に、呆れているとは思いますが、何か共感できる場面が一ヵ所でもあって、少しでも記憶に留まる事があったのなら、作者は嬉しいです。
このシリーズはまだ続きますが、ただ 雅たち の身の回りで起きている日常の出来事なので、コレと言って突出する事も無く坦々と綴っているので、ドキドキとかワクワクとかは少ないと思っています。
それでも興味のある方は、続けてお読み下さると、作者はとっても嬉しいです。
本当に来ていただき、ありがとうございます。
雅也




