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本当に、母さんなんだよね?
俺の頬をつねろうとする妹の手を素早く掴み、そのまま脇をくすぐる
そうして戯れていると
「本当に、2人は仲がいいわよね、母さん嬉しいわ」
そうやって微笑むのだった
「本当に、母さんなんだよね?」
「あら、変なこと言うわね、こんな可愛い母さん、ほかにいないでしょ!」
そう言っておどけた顔をするのだった
「変なことといえば、おぼえてる?ゆうくん。ゆうくんが母さんにいきなり『毎年健康診断にいけー』って言ったの
母さんあの時はびっくりしたわ、すごく突然だし、いつもにないくらいゆうくんが必死だったもの」
それは、昨日の夢の…
「だが、そのおかげで、母さんの癌が早めに見つかったんだよな」
親父がしみじみと言う
「そうそう、本当に、あの一言がなかったら、私今頃どうなってたことやら…、ゆうくん、お手柄だぞー!」
「ちょっと、お母さん、不吉なこと言わないでよね!」
ぽかんとしている俺をよそに、見慣れない、賑やかな朝食の時間が過ぎていくのだった