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不思議夢白書  作者: ゆきゆうな
5/12

お母さんのおねがい

母さんは10年前に病気で死んだ

癌だった

見つかった時には手遅れで、さらには特殊な癌で症例があまりなく、手の施しようがない状態だったのだ


母さんはすごくポジティブな性格で、いつもニコニコして元気だった

親父ともこちらが恥ずかしくなるほど仲が良くて、出かけるときはいつも手を繋ぎ、ときに目を合わせては、ふふっと笑い合っていた

いわゆるバカップルだ


病気が見つかったとき、親父も俺も妹も、この世の終わりかのように落ち込んだ

そんな雰囲気が暗い中、やっぱり1番明るかったのは…母さんだった


『もう!みんな、暗くならないでよ!ほらほら、笑って?みんなとは少しでも楽しく過ごしたいわ、ね?お母さんのおねがーい☆』

そういってまるで少女のように笑うのだった


それから俺たちは、笑顔で過ごすようになった

そしてたくさんいろんなところへ行った

新しい場所や、懐かしい場所

母さんが歩けなくなっても、親父が車椅子を押して、それでもあちこちへ出かけたのだった


そして、母さんが死んで…

俺も妹も親父もこれまでに無いくらい泣いた

特に親父の落ち込みはひどく、しばらくの間気の抜けた表情で、いつもよりさらに口数が減って…それはみていて辛くなるほどの姿だった


そんなある日、俺は母さんの夢を見たのだ

母さんは夢で

『みんなが悲しそうにしてたら、私、気が気じゃなくて休まらないわ!私はいつもあなたたちをみてるから、明るい顔をみせて?ね?お母さんのおねがーい☆』


目が醒めてすぐ、それを伝えると

親父は泣いた


そして、次の日からはいつもの穏やかな笑顔をみせるようになってくれたのだった

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