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かぼちゃの煮付け
薄暗いから間違えたか?
いや、そんなはずない
いくらうろうろしたところで、無いものはない
もう、墓地でどれくらいたったか
そろそろ帰らないと本格的に真っ暗になる
それはさすがに怖いし、不審者として通報されかねない
もうぬるくなってしまったカフェラテを
蓋を外して勢いよく全て飲み切る
そして、自宅へと車を走らせた
「…ただいま」
いつもより小さな声で言う
弱気になっているのかもしれない
母さんがいることへの違和感と
もしかしたら帰ったら母さんがいないのでは?という悲しさと
だが、そんな俺を迎えたのは
「おっかえりー!遅かったじゃない!心配したよー、ほら、ごはんにしよう!」
と底抜けに明るい母さんと、懐かしい母さんの得意なかぼちゃの煮付けの香りだった