授業
彼女の返事を聞かずにギルドを後にする。
今はいろいろとやらなきゃいけないことがある。
ギルドからまっすぐに家に帰ると、疲れた顔で椅子に座っているティアさんと、疲れて机で眠っているマリヤがいた。
ティアさんに会釈をして質問をする。
「すいません。魔法について知りたいんですが、教えてもらえますか。」
疲れで暗くなっていた表情が少し明るくなった気がした。
「マリヤを起こしたくないので、できれば外で何か食べながらお願いできますか?」
そう言ってティアさんの腕をつかむ。
2人で静かに家を出て、ギルド前の広場にやってくる。
「あなたはどれくらい魔法を知っているの?」
自分はほぼ知らないといってもいいだろう。
「ほぼ知らないです。
氷の魔法を見たことがあるくらいで・・・」
ティアさんは腕を組み、説明を始めた。
「氷は珍しいタイプね、魔法は才能の差こそあれ、この世界のすべての人が使えるわ。
あなたも、実は気付いていない力があるはずよ。
大きく分けて4種類の魔法があるの。
火、水、大地の3種類と、その他に分けられてるわ。
マリヤは水が得意な魔法よ。」
「え、じゃあ氷や、ティアさんの使う風は?」
「氷や私の使う風は才能に恵まれている人がまれに使いこなすことのできる魔法よ。
私は両方とも使うことができるけど、珍しいことなのよ。」
少し自慢げに言ったティアさんは少しづつ人が集まり始めた広場に目線を移しつつ、続けた。
「あなたのように魔法を使わない人は珍しいわ。
魔法を使えばもっと動きの幅も広がるのに・・・」
ティアさんはそう不安そうな表情でいった。
その表情を見て自分は立ち上がり
「おなかがすいちゃいました。
何か買いに行きませんか?」
そう言って有無を言わさずティナさんの腕をつかみ歩いていく。
2人店まで歩きながら、質問を続ける。
ここが大事なところだ。
「ほかにはどんな魔法があるんですか?」
ティアさんは自分の左手を握ったまま少し考えて
「自然に存在するものなら大抵あると思うわ。
ギルドの傭兵には光魔法を使う人もいるし、雨魔法を使う人もいる。
あんまり手の内を見せたがらないから、詳しくは知らないけれど。」
「ティアさんはその、光魔法や、雨魔法を使うことはできないのですか?」
「無理ね。」
短く言い放つティアさん、自分の望みはかなわなかった。
「その他の魔法にはなにか秘密があるようで、その秘密を知らないとどうしようもないの。
氷や風などの簡単なものは才能で使えるけど、それ以外の複雑なものに関しては才能より、生まれた血筋のほうが大事になる。」
それを聞いてため息をつく。
どうやら自分がたてている計画は思っているより、面倒なものになりそうだ。




