密会
先ほどまで明るかった雰囲気がまるで嘘のような雰囲気に包まれる。
2人とも下を見て頭を抱えている。
自分は勇気を振り絞ってもう一度言った。
「お金を貸してください。」
これを聞いて、ティアさんは部屋の奥から袋を持ってきて自分の前に置いた。
「これでどうするつもりなの?」
少し冷たく言い放ったティアさんを見て、少し傷つきながらこう返す。
「買い物です。」
自分を睨むティアさんをよそ眼に呆然としているマリヤに話しかける。
「マリヤに探してほしい人がいるんだけど。
その人はギルドを利用している人だから、今からギルドに一緒に行けない?」
そう言って何が何だかわかっていないマリヤと呆れた顔のティアさんの手を取り、3人でギルドに向かう。
ギルドについてマリヤの耳元で話しかける。
「金髪で仮面をつけた女性がいると思うんだ。
その人に会いたいからできるだけ早く見つけ出してほしい。内密に。」
そう言ってギルドのカウンターの内部に入っていったマリヤを見送ってティアさんと買い物に出かける。
マリヤがいなくなり、少し挙動がおかしくなるティアさんを見て強く手を握った。
不安そうな顔のティアさんに必要なものを伝えて、どこに行けば買えるのか案内を頼む。
必要なものを大量に買い込んでいく。
重いものはティアさんに持ってもらって、一度家に荷物を置きに行く。
そしてギルドに戻りマリヤと合流する。
ティアさんをマリヤに預けて、1人住宅街へ向かう。
大きな建物の前に立ち、3回扉をたたく。
中から男が出てきて誘導され中に入る。
中にはあの男と3人の男がいた。
「1人で来るとは驚きだな。」
笑いながら言ったそう男は近寄ってきて自分の肩に手を置く。
相手を睨み、建物の中を見渡す。
この建物は普通住宅より大きいもののまるで倉庫のように1部屋しかない。
そして家具もあまりなく、ところどころに椅子や机が置いてあるだけだった。
「今日は条件を伝えに来た。」
相手を睨みながらそう言うと、少し不快そうな表情を浮かべたその男はこちらをにらみ返しながら
「言ってみろ」
と肩に置く手に力を入れながら言った。
「まず1つ、望み通りあの人を差し出したら、自分とティアさんから手を引き、2度と関わらないと約束しろ。
そして、もう1つは何でもいいからギルドを通して俺に依頼を出せ。
それを言い訳につかってあの人を連れ出す。」
この条件を聞いた男は先ほどまでの表情とは一変、微笑みながら肩から手を離し。
「やっぱり、人には優しくするもんだね~!
傷を治してあげたかいがあったよ!
その条件のもう!」
と言って手を差し出してきた。
自分はその男を睨んだままその手を取り、握手をした。




