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無能の異世界物語  作者: ちくわぶ
初陣
36/127

尾行

この話は35話の観覧注意のものとと同じ内容です。

35話を呼んだ方はこの話は飛ばしてください。


扉が閉まる音がして目が覚める。


ティアさんの顔を見つめているうちに寝てしまったようで、ティアさんはもういなかった。


寝ぼけている頭のまま家の外に出て、1人歩いていくティアさんの跡をつける。


少しふらつきながら歩くティアさんは、周りの気配に気を配ることもなく歩いていく。


真っ暗な町でただ自分とティアさんだけが動いている。


ギルド前の広場へ行き、そこから北に進んでいくティアさん。


特に隠れることもなく跡をつけていくと、住宅街の中の大きな家の前で止まったティアさん。


扉をノックすると、内側から男が扉をあけ、ティアさんを中へ導く。


その家の窓はとても高い場所にあり、中をのぞくのは難しそうだ。


その横の家の屋根からなら中が見えそうなので、2,3件横の家のほうへと歩く。


同じような家が複数件並んでいるところを発見する。


狭い家と家との間の通路に入り込み、肩の痛みに耐えながらなんとか屋根へと上る。


かなり時間がかかったが、屋根から屋根へと飛び移り、大きな家の横にたどり着くが、窓から中は見えない。


耳を澄ますと、ティアさんの泣き叫ぶような声が聞こえたように気がした。


自分をゆっくりと深く深呼吸をしてそのまま目の前の窓に向かってジャンプした。


窓が割れる音が響き渡り、地面につくと同時に衝撃を逃すために転がる。


目を開けるとそこには何かが入った袋を男に渡しているティアさん。


ティアさんは自分と目が合うと、驚いた顔をしてとっさに走ってこようとする。


しかしすぐに男に止められ、部屋の奥から別の男が現れる。


「約束通り、情報は渡してるでしょ!!

お願い!命令通りにするから!」


ティアさんはその男に向かって叫ぶがその男はティアさんには目もくれずこちらに歩いてくる。


ゆっくりと歩いてくる男は隙一つなくこちらを見ている。


「待って!」


そうティアさんの叫び声が響いた瞬間に地面を蹴り、その男めがけて突進をする。


自分がその男に触れる前に、その男の左手が自分の頭を触り、地面にたたきつける。


そしてそのまま意識を失った。

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