目覚め
香ばしいにおいが漂う部屋でふと目が覚める。
目を開き、窓から差し込む日差しが木でできている部屋を明るく照らす。
ベッドに座り、周りを見渡すと本棚とタンスが部屋の隅に、そして小さなテーブルが1つに椅子が2つ部屋の真ん中にあった。
テーブルの上には皿の上に焼かれた肉とフォークとナイフが置かれていた。
その皿の上の肉を見つめていると扉が勢いよく開いた。
入ってきたのは身長がだいたい150くらいの小柄な幼い顔立ちの女の子、半そでの汚れたワンピースを着ていて、手には中身が入っているコップが握られていた。
その女の子と目が合い、驚いた女の子はコップを落とし急いで部屋を出ていく。
「おかーさーん!!
男の人起きたよー!!」
女の子は大きな声で叫び女の子が下の階へ大きな足音を響かせ走っていった。
会談を降りる足音が響き、今度はさらに大きな足音を響かせて戻ってきた。
「大丈夫かね?」
女の人が部屋に入ってすぐに、そう声をかけてきた。
声をかけてきた女の人は40代くらいで少しふくよかに見える、そしてその人もワンピースを着ているが、女の子のものとは異なりきれいな白であった。
「あの・・」
そう自分が発言しようとすると、少し寒気を感じふと自分の体を見ると何一つ身に着けていないことに気が付いた。
「まず服でもきたらどうだい。
あんたが着ていた服も洗っておいたよ。
あとそこの料理は食べていいから少し落ち着いたら下に来な。」
そう言い残し去っていった。二人分の足音とともに「おかーさん!私のお肉!」という声も響いてきた。
立ち上がり周りを見渡すが、目につく衣類はタンスの上に置かれた身に覚えのないものだけだった。
それを手に取りあてがってみる、白い服に赤い血の跡がついている。
ズボンと服を着て、部屋の真ん中に置かれている椅子に座る。
少し焦げ目がついた肉をフォークで刺しかぶりつく、味気ないシンプルな味だが口いっぱいに肉のうまみが広がる。
気が付くと口いっぱいに肉を詰め込み、皿の上には肉から出たであろう脂のみが残っていた。
肉を食べ、満足感に満たされベッドに倒れこむ。
ふと頭の中にあの女性が浮かぶ。
なぜ、ここまであの人に固執するのだろうか・・・
名前も知らない女性のことを思い出しあふれそうな涙をこらえる。
ギィーと扉が開く音が聞こえ、足音が聞こえる。
何が起こっているのかわからず、体をこわばらせて扉を見つめる。
その足音は近づいてきて止まると、自分がいる部屋の扉があいた。