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無能の異世界物語  作者: ちくわぶ
ギルドでの生活
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訓練-2

2日経ち、やっと筋肉痛が治まり始めたので訓練を再開する。


今日の訓練はストレッチや技術の練習がメインとなる。


ティアさんが拾ってきた枝を使って打ち合いをする訓練だ。


しかし、ティアさんが使う枝は太く、自分のは細くてもろい。


ティアさん曰く、自分は人より力が弱いので攻撃を受け流す訓練が必要らしい。


ティアさんが軽く棒を振り下ろす。


それをいなそうとして折れる枝。


この訓練はとても難しい。


繊細な作業が苦手な自分にとっては普通の訓練よりも疲れる。


しばらくは筋トレやストレッチなどの基礎をこなしながら、この訓練をメインでしていくようだ。


筋肉痛に苦しみながら休憩している自分にティアさんはこう言っていた。


「あなたは弱いです。どれだけ鍛えても私やギルドの傭兵のようにはなれないでしょう。

だからこそ、それがあなたの強みです。

ある程度の実力がある人はあなたの強さを見抜く力もあります。

あなたの力ならば向こうは少し油断をするでしょう。

その瞬間こそがあなたの最大のチャンスです。」


だからこそ、自分は戦士や騎士のような戦い方ではなく、まるで暗殺者のような戦い方を学ぶ必要がある。


敵の油断を誘い、その一瞬を逃さない戦い方が自分に最も適している。


その一瞬のための訓練を重ねていく。




日々訓練を続けていく中で、少し不安なことが増えてくる。


日がたつにつれて出かける頻度が増えるティアさんと、時々やってくるマリヤ。


用事と言って出かけるたびに傷が増えていくティアさん。


ある日突然ティアさんは訓練に来なくなってしまった。


そのことをマリヤに相談すると、マリヤが訓練をつけてくれることになる。


少し舐めてかかったが、一瞬でのされてしまった。


剣の使い方に関してはティアさん以上の実力者の様だ。


身のこなしも軽く、気が付くと音もなく背後に立っていることもある。


しかしながら、マリヤの訓練法はひたすらうち合うのみ。


2人向かい合い、マリヤが初手をとる。


自分の顔めがけての突き、これを左膝を曲げ躱し、剣を左下から切り上げる。


これを膝を曲げ、背中が地面すれすれになるまでのけぞりよけたマリヤは右手に持った剣で自分の顔を突く。


態勢が崩れている自分にこの一撃がいなせることもなく、痛みを覚悟するが、マリヤが寸止めをする。


再び距離を取り今度は自分から動く。


大きく一歩踏み出し距離を詰めると、体格の差を生かそうと両手で右肩の上に来るように構えた剣を振り下ろす。


大振りの一撃をマリヤは剣を片手で持ち、一歩も動くことなくいなす。


バランスを崩すが追い打ちをしてこないマリヤを見て、少し距離を詰め持ち直した剣を冗談から振り下ろす。


これを一歩左に動くことでよけた自分の腹部にマリヤの蹴りが入る。


かなりの衝撃を受け倒れこんだ自分は昼に食べたものをその場に嘔吐する。


それを見て心配そうな顔をしたマリヤが


「ごめん!やりすぎた!」


と言って駆け寄ってくる。


しばらく動けなさそうな自分と沈みゆく夕陽を見て彼女は近くの岩に腰を下ろし、自分を呼びこういった。


「ねぇ、少しお話ししようか?」



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