寝床
ティアさんに背負われてギルドを出る。
自分の状況を聞いて興奮したマリヤのびんたは疲弊しきっている自分には強すぎたのか吹っ飛ばされてしまい。
それを見ていたティアさんが自分を家まで背負って送ってくれることになった。
「なんか、すみません。」
ぼそりつぶやく自分に少し恥ずかしそうにうつむきながら、怒った口調で説教をするティアさん。
「今日の朝と言い、お金がないならないでどうして先に言わないの?
私が付いていたからよかったものの、コンディションを整えずに行くなんて、死んでもおかしくないことなのよ!」
今日の姿からは想像できない程元気そうな姿を見て安心して頬が緩む。
「第一、あなたは何の才能もないのにこんな仕事に就くなんてどうかしてるし…」
終わりそうにない説教を続けながら歩くティアさんはギルドから歩いて10分ほどの距離にある建物につくと、扉を開け中に入った。
そのまま奥の部屋に連れていき、ベッドの上に自分を下ろすと部屋を出ていき、何か棒状のものを持ってきた。
「荷物は私が後で取りに行くから、あなたはこれでも食べておとなしくしてて」
そう言って自分が一言も言う隙もなく家を出て行ってしまったティアさん。
汚れている自分がベッドにいてはいけないと思い、なんとか立ち上がり先ほどもらったものを口にする。
とてもパサパサしていて口の中の水分をかなり持っていく。
とりあえずそのままゆっくりとベッドの向かいにある壁まで歩き、手をつきながら床に座る。
生活感をあまり感じさせない寝室だが、とてもいい香りがしていて、それは広場で昼にかいだものよりもとても甘いような香りで、この部屋にいるだけで癒される香りだった。
その香りに包まれながら目を閉じ、食を進めていく。
おそらく携帯食料のようなものなのだろう、美味しくない。
せめて、飲み物があればごまかして一気に行けるのに。
部屋を見渡す。
クローゼットが自分の左手に置かれており、右手にはドア。
その向こうには部屋が見え、高級そうなテーブルと椅子が見える。
自分に気を配ってくれたのかすべての部屋の明かりがついている。
クローゼットの上にはダガーが2つ置いてある。
とても高価そうに見えるが、あまり手入れをしている様子がない。
そしてそのクローゼットの下には、なぜか割れたガラスが散らばっている。




