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無能の異世界物語  作者: ちくわぶ
ギルドでの生活
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訓練-1

食事を食べた後、ティアさんに連れられ、町の外にある原っぱまで来ていた。


「生活するお金もないですし、これ以上迷惑かけられないですよ。」


と遠慮しようとしたのだが、なぜか乗り気のティアさんに押し切られてしまった。


「対人戦ならば、魔法があまり使えなくても戦えると思うので、そこを重点的にやっていきましょうか。」


そう言って木でできた剣を構えるティアさん。


自分も同じ剣を構える。


「いくよ!」


そう言って一歩を踏み出すティアさん。


その勢いのまま大振りで剣を振り下ろしてくるので、それを防ごうと剣を頭上に上げる。


ティアさんの剣を受けた自分の剣はそのまま地面にたたきつけられてしまい、手首に激痛が走る。


「そのまま受け止めるのではなく、勢いを逃がさなければいけません。」


そう言われ剣を拾いもう一度構える。


今度はゆっくりと剣を上へ上げるティアさん。


ゆっくりと振り下ろされた剣を受け流す。


「思ったよりもできないみたいなので、基礎中の基礎から行きましょうか。」


体力づくり、筋トレ、素振りのメニューを課せられる。


「しばらくはそんなところです。」


そう言い残し、ティアさんは近くの椅子へ腰を下ろす。




気が付くともう日が暮れてきていて、なれない体の使い方をしている自分はもう虫の息だ。


体中に力が入らず、もうすぐにでも倒れてしまいたい。


そんな自分を見ていたティアさんはなぜかとても楽しそうで、自分の脚に力が入らなくなってしまい、その場に座り込んでしまったのを見て自分が待ち望んでいた一言を言った。

「では、今日はこの辺で。」


その言葉を聞いてそのまま地面に倒れこむ。


赤く染まっていく空をみて、目をつむる。


吹き抜ける風がとても気持ちよく感じる。


目を開けるとティアさんは自分の横に座っていて、目が合う。


大人びた、どこか寂し気な表情でこちらを見つめるティアさんを見て、その手に触れた。


「わかりますか、こんなに疲れ切っているんですよ。」


と体に力が入らないことをアピールすると、手に触れた時には驚いた表情をしていたティアさんだったが、思わず笑いだす。


ティアさんは少し笑ったあと、また悲しい表情を浮かべ空を見ながら立ち上がる。


「帰りましょう。」


お尻についた砂を払いながらそう言って、自分に手を差し伸べた。


その手を借りて立ち上がった自分その手を離したら目の前の女性が壊れてしまう、そんな気がして、手を離すことができなかった。


暗くなっていく空の下を、ゆっくりとしか歩くことのできない自分を恥ずかしく思いながら、互いの手をつかんで離さないまま、2人静かに歩いた。


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