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無能の異世界物語  作者: ちくわぶ
ギルドでの生活
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試練?

それなりの数を設置して身体的、そして精神的な疲労から休憩をとることを決めた。


ナイフに感謝してポケットにしまう。


この切れ味がなかったらおそらく何倍も時間がかかっていたことだろう。


とりあえず川まで戻り、水分を補給することにした。


わなを仕掛けている最中に発見した泉に腰を下ろし手で水をすくい口へと運ぶ。


のどを潤し空を見上げる。


茂っている木々が、太陽の光に照らされ幻想的な景色になっていた。


空気はひんやりとしていて動き回って汗をかいた自分にはとても心地よく感じる。


おそらくもう昼になっているのだろう。少しずつおなかがすいてきた。


ひとまず罠の様子を見に行こう。


ナイフでしるしを刻んでおいた木を探し歩き回る。


今自分がいるところから最も近い罠には何もかかっていなかった。


2つ目、3つ目とみていくが収穫なし。


あまり奥に行き過ぎないように川に向かって歩いていくと、最初に仕掛けた罠にウサギがかかっていることに気が付いた。


大きくはないが得た収穫を持って川に向かって歩く。


森を抜けるとそこにはティアさんと話す仮面の女性。


仮面の女性は自分に気が付くと町に向かって去って行ってしまった。


ウサギを手にした自分がティアさんに背後から問いかける。


「あの人は・・?」


しかし、”気にしなくていいの”とごまかされてしまった。


ティアさんは自分の手のウサギを見ると吹き出して、笑うのをこらえながら何とか一言絞り出す。


「こんなに・・・時間をかけてこれだけ?」


その発言にムッとしながら堂々と言い返す。


「そうですけど、何か?」


「それだけじゃあ・・・今日のお昼にも・・ならないわね」


途切れ途切れになりながら一言言ったティナさんは森の方に歩いていった。


すると背筋を伸ばして立ち両手を勢いよく横に伸ばす。


そして何かをつかむような動作をするとどこからかウサギやイノシシ、そして灰色の毛を身にまとったイノシシよりも一回り大きなものが森の中から飛んでくる。


その灰色のものはまっすぐ自分へと飛んできて受け止めきれなかった自分はその場に倒れてしまう。


明るい笑顔でこちらに振り返ったティアさんはまるで10代の女の子のような眩しい真っ白な笑顔で、とても楽しそうに


「さぁ、帰りましょ!」


といった。


その瞬間は自分はティアさんの笑顔に見惚れてしまい、今までの疲れや、くやしさなどはすべて吹っ飛んでいったように思えた。


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