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無能の異世界物語  作者: ちくわぶ
ギルドでの生活
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ギルド-2

2人は自分に聞こえないようにぼそぼそと話し、女性がため息をついて少し冷たくこういった。


「悪いけどこっちに来てくれる?」


彼女について歩いていくとカウンターの右手にあった扉を開け中に入っていった。


そこには殺風景な部屋があり、椅子2脚と机1つがさみしく置かれていた。


女性に促されるまま座り心地の悪そうな椅子に座り、見た目通りの椅子に心の中で落胆する。


「あなたがギルドでやっていけるとは思えないの。

悪いことは言わないからやめておいたほうがいいわ。」


女性は無表情でそう述べた。


「この町のギルドはあなたのように夢を見ている子が多くやってくるのだけれど、このギルドの新人の死亡率は50%そして残りのうちの20%はひどいけがを負って引退、残りの運のいい25%は現実を知って違う仕事に就くわ。さっきの受付の女の子みたいに。」


先ほどの受付嬢も元々ギルドで生計を立てようとしていたのか、整った顔立ちの彼女のような人なら選択肢も多かっただろうが。


ただ、ここで忘れてはいけないのは自分は別にビッグになりたいわけではない。


簡単なものでいいのでまずは安定した生活を送りたいのだ。


安定した仕事ではないことは承知だが、この世界の常識も知識も何一つない自分が選択できる仕事がそう多いとは思えない。


「それでもなりたいんです。」


と返すと女性は呆れた顔をして、深いため息をついた。


「わかったわ。明日の朝にまたギルドのさっきのカウンターに来なさい。」


と女性は立ち上がりながら言って部屋を出て行った。


部屋を出て受付嬢にあいさつをする。


整った顔立ちで、立っている姿勢も美しい。


輝いている短く切られた金髪は彼女の整った顔立ちをより中性的に魅せていた。


彼女は手元にあったコップを口元に運び口にした。


どことなく赤く見える彼女の顔を見つめ"ありがとうございました"と伝えた。


「ちょっと待って。

君、村から出てきたって言ってたよね?

今日はどこに泊まるの?」


さっきの女性がいた時よりも少し砕けた感じで自分に問いかけてきた。


一文無しの自分に宿などとれるわけがないので、そう伝えると受付嬢はガッツポーズをし、先ほどの奥の部屋に自分の腕を強くひっぱって行くと


「ここで待ってて!」


そう強く言い残し上機嫌に部屋を出て行った。

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