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下水道その3

おとなしく治療を受ける。

手からの煙は収まり溶けた部分もすっかり治して貰った。


「こ、これでどうでしょうか?」

「全く問題ない、ありがとな」


さて、治ったんだ、先へ行きたいところだが

キメラゾンビが突っ込んできたところからして他にも何かいそうだ。

慎重に進んだ先には何があるか……大量のキメラか罠かそれとも………。

そう思って進んだ先は通路ではなく広がっていた。


「げ、下水道の奥がこんな事になっているなんて…」

「こんな構造、下水道にいらないだろうに」


そう思って周りに目を向けようとしたところで照らしきれてない空間の奥から

金属音が鳴り、全員の意識が鳴った方向に集まる。

いや……ブラフの可能性がある、周りにも注意を向けないと……。


「シェシュル、奥の方を照らせ。さっきみたいに跳びかかっても

俺がなんとかしてやるから」

「わ、わかりました」


そう言って、シェシュルが奥を照らす。

その先にいたのは………


「キメラか………いや……」


なんだ、この牛っぽい生き物は……なんでこんなところにいる。

見た感じかなり弱っているようでこちらを襲う体力は残ってないようだ。

色々な疑問が頭をよぎるが、その前に一人が声を上げた。


「この子は……おじさんのとこの……」

「こいつの事知ってんのか?」

「う、うん、近くの牧場で飼われていた子だよ。

みんな殺されたって言われてて、死体もいっぱいあったのに……」

「…ぬ、ぬぉぉぉ……」


アヤカを見て、弱弱しくも声を上げる牛らしき生物。

それを聞いてすぐに駆け寄ろうとするアヤカの前に腕を出して止める。


「な、なんで止めるの!?」

「罠の可能性も零じゃないんだ、安易に駆け寄ろうとするな。

シェシュルこいつ全体を照らしてくれ」

「わ、わかりました」


光が強くなり、牛?の周りを照らす。

周りには白い石の様なものが散らばっている程度で

近くには罠も何もないようだがまだ油断は出来ない。

こいつの中身に入っていて近づいた瞬間、体を裂いて出てくるなんて事もあり得る。


「俺が見に行くからお前らは周りを見ていてくれ」

「わ、私も」

「お前はまだ来るな」

「で、でも……」

「お前がすぐに駆け寄って助けたい気持ちもわかるがまだ来るな。いいな」

「……わ、わかった」


不満そうだが無理やり納得したのか退いてくれるアヤカ。

恐る恐る周りに気を配りながら、牛らしい生物に近づくとある事に気づく。

それはこの生物の頭蓋骨であろう形の骨がいくつか散らばっていた。

ほとんど砕けて原型を失っていたが、一部は近づけばわかる程度に形を残していた。

砕けたのも風化して壊れたというより強い力で砕かれたかのような……

そう言えばキメラ達は見た目的には肉食っぽかったし、

恐らくこいつはキメラ達の餌って事だろう。

この考えが正しければこいつ自体は無力なはずだ。

更に近づいてゆっくりと手を伸ばし、牛らしき生物の頭を撫でる。


「ぬぉぉ……」


弱々しくも安心したかのような声を上げる。

どうやら罠でも何でもないようだ。


「大丈夫みたいだ」


その声を聞いてすぐにアヤカが駆け寄ってくる。


「良かった、生きていて……あなただけでも」


アヤカは声を震わせて頭を撫でる。

その後にシェシュルが駆け寄ってきて状態確認を行い始めた。

もしかしたら手遅れの可能性もある、そうなったら解釈してやるべきだが……

アヤカが全力で拒む姿が容易に想像できた。

そうならないように祈るばかりだ……。

この生物の事は二人に任せて周りの観察を始める

敵が来てもいいように、罠が発動してもいいように。

しかし、この下水道は元からこういう構築にしてたのか?

建築系に関しては知識がからっきしだからいくら見てもわからない。


「ここは後から作られたようね」

「何でそう思う、アシェル」

「こことか比較対象があるおかげでわかりやすいんだけど

明らかに通路の壁の方が風化が進んでいるわ。

汚してわかりにくくしてあるつもりみたいだけど……

通路の壁との差はざっと数年ってところね」


数年も差があるのか……。

それぞれの壁に触れてみるが明らかに触り心地が違った。

アシェルの考察は間違ってないって事か……。


「いつ作られたとかはわかるのか?」

「流石にそこまではわからないわ、ただここで何かが行われていた事は確かね。

そことか奇麗すぎるもの」


そう言ってアシェルが指差した地面は確かに他と比べると汚れていなかった。

近づいて確認すると汚れも他が黒ずんだ血と言った具合だが

ここは汚れた足で踏みつけたから出来た汚れのようで明らかに浮いていた。

何か大きな何かが置かれていたようだが何をしていたのかはわからない。

いや、さっきのキメラゾンビの事を考えれば答えは一つだろう。

考えるだけで胸糞悪くなる冒涜行為をやっていたんだろうな。


「ケ、ケンさん」


シェシュルから呼ばれたのですぐにそちらへ向かう。


「どうした?」

「さ、幸い衰弱していただけなので僕が出来る範囲に治療はしたんですが

動く事はまだ出来ないみたいで……」

「そうか……」

「わ、私はこの子を助け出したい、歩けないのなら私が背負ってでも――」

「別にそれでも良いが背負えるのか?」

「で、出来るよ!!」


そう言って担ごうとするが牛?はうんともすんともしなかった。


「出来てねーじゃねえか」

「だ、だったら手伝ってよ」

「そんなの背負っていたら隙でしかないんだ、嫌に決まってる」

「だ、だったら外に連れ出すだけでも……」

「馬鹿か、そんな時間あるわけないだろ」

「うぅ……」


おもちゃを買ってもらえなかった子供がするような目で睨みつけられる。

そんな目で睨みつけられても決めて貰わないと困るんだが……


「僕が外まで連れて行くのですよ」

「いいのか?お前も―――」

「いいのです、友達を助けたい気持ちはわかるのですよ」


そう言ってキコはあっさり牛らしい生物を抱える。

流石鬼だ。


「僕の事は気にしないで先に行っていて欲しいのです」

「いいのか?」

「あの子を助け出すのが一番なのですから。すぐに行ってほしいのです」

「わかった、気をつけろよ」

「はーい、なのです」


そう言うとどかどかと足音を立てながら、キコは通路へと戻っていった。


「戻ってきたら礼を言っとけよ」

「………うん」


キコにああいわれた以上はいつまでもここで長居はしてられないな。

さっさと先に進もう。

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