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起死回生


勝ち誇った顔で王子が光線を打たんとしている。

この状況を切り抜けるか考えたいが思考が止まり始める。

視界がぼやけていくが、それでも諦めるわけにはいかない。

ただ殺されてたまるか……ッ!!


「この状態でまだ絶望を見せない……戦意を失わないとは恐ろしいと言うほか

ありません。そんなあなたをここで脱落させれるとは私達はついてます」


傷からも口からも血がダラダラと流れ出るが知った事か。

体がもう動けないと言っていても無視する。

体の震えを無理やり抑え込める。力を籠める。

まだ動ける、たかが右胸と左の腹に風穴があいた程度だ。

脳は残っている、心臓は残っている。

右はともかく左の腕は無事だ、両足は無事だ。

ならば動ける、動いて目の前の勝ち誇ったクソ野郎を仕留めるのみだ。

もう息は出来ず、ただただ血が吐き出されるだけだが

無理やり空気を吸い込んで酸素を体へ送り込む。

王子が光線を発射するよりも先に動く。

即座にその場から飛び去って、こちらへ反応出来ない間に突っ込む。


「なっ!?ま、まだ動け――」


驚いている間に頭蓋を砕いて仕留めるべく、上段回し蹴りを繰り出す。

ギリギリのところでしゃがまれるがその勢いのまま1回転して

今度はかかと落としで潰しにかかる。

それもギリギリのところで飛び退いて躱してくる。

こいつ、中々やれるじゃねえか……うっとおしい。


「その傷でこの破壊力とは……ですが」


魔法陣を出現させる。また、キメラか……。

これ以上時間はかけられない、纏めて消し飛ばしてやる。

魔法陣からキメラが出現を確認したと同時に構える。

左腕だが、体がもつかわからないが実行に移す。


「剛砕き柔穿つ俺の拳に、打ち砕けぬものなど無し!!」

[そ、それはダメです!!今のままじゃあ体が持ちません。

本当に死にますよ!?]


アンジュが喚いているが知った事か…勝てばいいんだ。

キメラが牙を剥いてこちらへ跳びかかってくる、それ合わせて拳を放つ。



「天掴覇王拳!!」



踏み込みで地が砕け、拳がキメラに当たった瞬間にキメラは消し飛ばされる。

衝撃は辺り一帯へ伝わり、その場にあるものを破壊していく。

土煙が当たりに立ち込める中、ついに限界が来た。

膝から崩れて、倒れる。

今の状態で反動に耐えられるわけもなく、牙を剥いて襲い掛かって来た。

何も考えられなくなる。

視界が徐々に暗闇に包まれる。音が拾えなくなる

頭に響くアンジュの声を理解できなくなる。

意識がゆっくりと落ちていく―――――

































とんでもない音と共に目が覚める。

喉から伝わる鉄の香りを感じ、咳き込むと口から血が吐き出される。

出なくなるまで吐ききってから辺りを見ると

明らかに助からないレベルの血を流して彼が倒れていた。

みんなの仇が……でも、こういう時こそ考えろって……。

………気を失う前に彼に引っ張られたのは

助けようとしてくれたんじゃないだろうか?

いや、恐らくそうだ。あの時気を失う前彼も貫かれていた。

この人なら避けられたのに私を守ろうとしてくれたんだと思う。

もしかして、この人は悪い人じゃあ…みんなの仇じゃないのかもしれない。

彼へと歩み寄ってみる。


「う……っ!!」


出血だけじゃなくて2か所も体に穴が開いていた。

こ、これじゃあ助からないよ。

そう思っていると土煙の中から誰かが出てきた。


「まさか、あの傷でここまでやってくるとは……油断しました」

「王子様!?」


いると思ってなかった人の登場に声を大きくして驚いてしまう。


「ええ、王子ですよ。どうしました、アヤカさん」

「い、いないと思ってたからびっくりしちゃって……」

「そうですか。私はアヤカさんが彼に捕まりそうになっていたので

勇気を出して助けようと彼に立ち向かっていたんですよ。

まさか、2つも体に穴を開けても動いてくるとは思いませんでした」


捕まりそう?

彼は私と話していただけなんだけど、遠めだとそう見えたのかな?

そう思ったところで彼の言葉を思い出した。

思考停止するんじゃない、それを思い出して考える。

……あれ、さっきの言葉おかしくない?

だって、その言い方じゃあまるで王子様がやったとしか聞こえないよ。

それに2つのうち一つは……あの時の傷じゃあ……。

心臓の音が全身に響くような感覚に陥る。

息が荒くなっていくのが分かる。


「……どうしました?」


普段通り、あった時と変わらない私を心配してくれている顔

それが今回はとても違和感があるもののように感じた。

疑うなんてとても失礼な事だと思う。

けど、この疑問を解決するべきだと思った。


「ねぇ、王子様。王子様が彼をあれほど追い込んだんだよね」

「はい、先程言った通りですが」

「……さっき、私は彼と一緒に胸を貫かれたんだ」

「……!!」

「でも、この剣のおかげで回復したみたいなの」

「………」

「……だから、傷はもう大丈夫なんだけど……

あの時私と彼を打ち抜いたのは王子様なの?」

「……………」

「ねえ……王子様、何か言ってよ」


何で何も言ってくれないの?

もしかして、私の事は利用していただけなの?

あの言葉は嘘だったの?

嫌な事が頭の中にいくつも浮かび上がってきて、気分が悪くなってくる。

そして、そのせいか背筋が寒くなってくる。

いや、全身が寒さに包まれ――――

そう思った時に足に違和感を感じて、足に目を向けると足が凍り付いていた。

そして、音をたてて地面が氷で包まれ始めた。


「ッ!?……申し訳ありませんが、アヤカさん。その話は後で……!!」


そう言った王子様が手を伸ばしてきた。

いつもなら、こっちからも手を伸ばすんだけど、この時はその手を弾いた。

私を攻撃した事への謎、彼への得体のしれない恐怖、それらが原因だと思う。


「………そうですカ」


そう言うと王子様は目の前から姿を消した。

そして、消したと同時にどんどん体が凍っていく。

体が凍り付いていく事への恐怖が全身を駆け巡り怖くて目を瞑る。

すると体が光に包まれて氷を弾き飛ばす。

氷が消え、自分が凍り付かない事への安堵から尻餅をつく。

た、助かったの?

そう思った後にある事が頭をよぎる。

彼は……?彼はどうなったの?

そう思って、死んでいるかもしれない彼へ目を向けると

既に彼は全身を氷で覆われていた。

た、助けないと……と思って氷に覆われた彼へと手を伸ばす。


「待て、もう一人の異なる世界の者よ」


突然背後から声を掛けられて、すぐに振り返る。

そこには巨大な狼がいた。

新たな敵……!?

そう思って、剣を握る力を強めて、警戒心を強める。

決して目を離さないようにじっと見つめる。


「安心せよ、我はお主を襲う気などないのじゃ。

我はそこで死にかけている者を凍らせに来たのじゃ。助けるためにな」


助けるため………?

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