錬金術士
「わ、わしはなぜ骨だけになってしまったのじゃっ?なんか骨が足りないですぞ!?あああああっ!?頭はどこですぞおおお!?」
骸骨が川に向かって走っていった。なんだこいつ。魔物かな?
「頭はどこですぞおおおっ!?」
頭蓋骨のない魔物?は川の中に頭を突っ込んでどこですぞ!?どこですぞ!?と言っている。なかなかシュールな画だ。ん?ヒナが持ってるのは…
「ぴえっ!ガリガリガリっ☆ペロペロ」
「GYAAAAAAAAAあああああ」
ヒナがかじっていた頭蓋骨を奪って放り投
げる。ばっちい!めっ!と叱る。
「はぁはぁはぁ。ちょ、ちょっとかじるのはやめて欲しいですぞ!」
魔物?は歯形がついた頭をカチャカチャと首の上に乗せる。なんだか変な魔物だなぁと見てたけどあっ!こいつ敵だよな?ばっちいし殺そう!とファイア[小]を放つ。
「あがああああああああ」
魔物はプスプスとこんがり焼ける。む。ファイアの威力が足りなかったか?しぶとい。もう一度口を開けて構えると
「ちょちょっと待って欲しいですぞ!鳥の魔物様!ひょっとしてそのお姿!伝説の怪鳥様ではありませぬか!?お話を聞いて欲しいですぞ!」
マイマザーの事を言ってるのかな?
「怪鳥様!ようやく悲願が叶いましたぞ!!わ、わしの話を聞いて下されええ!」
「くええっ!?」
魔物は俺達の前にダッシュしてきてすすり泣きながら土下座している。鼻水足らしながら…川の水だと思うけどばっちいなぁ。いや、こいつが言ってる怪鳥は多分マイマザーなんですが。
「怪鳥様!わ、わしの願いを…わ、わしの名前はネルと言いますじゃ!生前は錬金術士をやっとりました。わ、わしはある魔石を求めて怪鳥を探しておったのですじゃ!それはそれは何十年間、何百年と探しとりました。ある日、怪鳥様がその魔石を持っているとわかって魔の森に来たのですじゃ!」
ほう。ここって魔の森だったのか。情報が手に入った。
「怪鳥様から感じる強力な魔力…これは間違いなく魔王様の魔石のものですじゃ!わ、わしは魔王様の復活のため魔王石を探していたのですじゃ!ど、どうか魔王石をわしに下されですじゃ!」
「くえっ!?」
なんだと!こいつ俺を復活させようとして死んだのか。ていうかこいつ何者だよ。
「魔王石は魔王様の願いが宿った魔石ですじゃ!魔物が強くなる特別な魔石なのですじゃ。そして魔王石は魔王石を取り込むによって進化[ランクアップ]し姿も変わり強力な魔物になっていくのですじゃ!わ、わしは魔王様を復活させたいのですじゃ!」
俺は神に破れた時、魔王石に願った。もっと強くなりたいと。…バラバラになったけど。一つ一つに俺の願いが残ってたのだろうな。
「わ、わしは怪鳥様のお子さまに特別な力を感じますじゃ!間違いなく魔王石を持っておられる!
聞いた話では怪鳥様は少なくとも3つの魔王石を持っておったようですじゃ!ど、どうかわしに魔王石を…!」
俺達に近寄って地面に頭をガンガンと打ちつけて土下座している。鼻水を足らしながら。ばっちい!
「ぴえっ!?」
「くえ!?」
奴は至近距離で鼻水を足らして泣いている。
マイマザー俺の魔石持ってた!3つも!でも遺体に魔石の魔力は感じなかったから多分マイマザーが産んだ卵に宿ったのだろう。
俺ともしかしたらヒナとあいつかもしれないな。
ていうか魔王石くれって心臓くれと言ってるようなものだからな。こいつやべーな。
「ぴえっ!」
「あっ………」
ヒナはばっちい顔近寄ってくんな!と頭を羽でぶっとばした。ぽーん!と頭が転がっていった。よしよし。
「どうかお願いしま…」
「ぴえっ!」
「魔王石くださr…」
「ぴえっ!」
「魔」
「ぴえ!ぴえ!ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴはぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴえっ!」
俺達に近寄ってくるたびにヒナが頭をぶっとばした。最後は羽で往復ビンタして「魔魔魔魔魔魔魔魔魔魔魔魔魔魔石魔石魔魔石魔魔魔魔魔ままま!!」とかバイブした。しつこい。
「で、ではわしがお二方を強くして差し上げますじゃ!!わしはお二方を魔王にさせてあげますじゃ!わしはこう見えて強力な錬金術士ですぞ!魔王様の力に近づいて欲しいのですぞ!」
「くえ?」
錬金術士は俺の時代でも強力だったが使い手があまりいなかった。奴はそれなりに優秀な魔法使いだったのだろう。
「魔物は魔王石相手を取り込む度に姿を変え強力になるのですじゃ!これを[進化]と言いますじゃ!…魔王様は魔王石として散ってしまわれましたが、わしは魔王様は石となっても強くなろうとしておるのだと思いますじゃ!」
「くえ!?」
ズバリ当たってるし本人が目の前にいるぞ。
「魔王様がいずれ復活するためには魔王石での進化が必用ですじゃ!しかし殆んどの魔王石は本来の使われ方をしておりませんな!生きていた頃は魔族や他の人種めらに剣や槍、防具等に使われてましたな。怒りに震えながら、わ、わしは長年魔王石を研究しましたぞ。」
「くえー!?」
魔王石って便利だナーって既に剣とかになってたの!?
「魔王石を取り込んだ魔物はより強い魔物にしか進化なりません。わしは、…わしは魔王石は人種を越えた進化もが可能と考えておりますじゃ!そう考え研究していたわしをいつの間にか錬金術士と呼ぶようになりましたな。…わしはいつの日かついに魔王石に錬金術をかけ性質変化が出来るようになりましたな。魔王石を持った魔物を他の種族に進化させる事が出来たのですぞ!ゆくゆくは新たな魔王様が復活されるのですぞ!!!」
「く、くえ!?」
こ、こいつ狂ってた!新たな魔王って魔物じゃねーか!
「怪鳥様は一個、魔王石を持っておられるので進化できますぞ!それに、わ、わしにお体を触れさせて下されば、魔王石をパワーアップ出来ますぞ!スキルも付与出来ますぞ!」
こいつに関わるのはなんか嫌だが、俺はもう鳥の魔物として生きていくと思ってたからな。あぁ。魔王石を取り込むと進化するとはな。俺がそのまま魔王石を取り込むとマイマザーのような怪鳥になっていくのかな。
甘い誘惑だな。錬金術か…
「くえ。」
俺は頷く。奴は目を見開き
「怪鳥様、了承頂けたのですな!で、では怪鳥様が望むような姿になるように魔王石を弄りますじゃ!」
奴の手から深緑の魔力が俺の体内に入った。
「…くええ…」
俺の体が内側から崩れ、再生し変化する。
自分の内蔵、骨、血管に不思議な感覚が宿っていく。生前の俺をイメージする。俺の魔力の流れが逆流し暴れだす。苦しい。
「お、おかしいですぞ!?そんな馬鹿なですぞ!?変化が、もう始まっているですぞ!?」
「ピ、ぴええっ!?」
俺の体は光り輝き出した。
脚の感覚はなかった。脚ではない。足だったから。手を握れば5本の指があり、背に力をいれれば羽が羽ばたく。姿はまるで_________
「か、怪鳥様が天使になられたですぞ!?」
俺はどうなったのだろうか




