魔王は怪鳥に転成しました
魔王石
1000年前魔王ノウスは神に破れた。
壮絶な戦いの果てに魔王の心臓、魔王石は神の神聖槍により打ち砕かれてしまった。
しかし魔王は絶命する直前に意識を魔王石の欠片の一つに移す。
魔王石は何百にも砕かれ宙から降り注いていった。
薄れゆく意識の中、魔王は誓う。
神への復讐を。
1000年後
~魔の森~
それは人が近寄る事を許さない様様な魔物達が住む森。獣類、鳥類、森の聖霊やドラゴンといったものが幾千年も存在してきた。
「グルルル…」
荒い吐息で今、命を終えんとしている鳥形の魔物がいた。
魔物は牝でお腹には新たな命を宿していたのだ。最後に魔物は卵へ自らの生命力を次世代へ渡した。
「グ…る……………………」
魔物は卵を生むと死に絶えた。
だが彼女はこれでやっと苦しみから開放されたと感じた。
彼女の生はある欠片を食べた時から変わってしまった。より強いものを食べ、より強くなり、より強い雄を繁殖相手にする。それをひたすらに目指す魔物となっていった。
ピシ…
卵に亀裂が入る。
新たな命が誕生しようとしている。
禍々しい黒い卵は彼女の母体にいる時から生命力を吸いとっていた。それが彼女の命を種の本能以上に刈り取っていた。
ピシ…ピシ…
ピシ…ピシ…ピシ
「くえっ!」
魔王は我が身を怪鳥の雛とし、蘇ったのだった。




