第2話 最期の願い
ごめんなさい。
色々と立て込んでいて更新が大幅に遅れました。
また、タイトルを変更しました。
前
最強の龍に育てられた俺の人生
後
最強の龍に育てられた俺は規格外!?
〜平穏な生活を送るために全力で自重します。〜
になりましたのでよろしくお願いします。
次に目を覚ました時に見たのは雄々しくも美しい
紅の鱗だった。
「目が覚めたか。」
と、不意に低い声で正面から声が聞こえたので、
声が聞こえた方向に向けて顔を上げるとそこに居たのは火龍スカーレットだった。
私は驚いて一瞬固まってしまったが、頭の理解が追いつくとすぐに姿勢を正そうとしたが、お腹からかなりの痛みがきたために起き上がることさえ出来なかった。
「やめておけ。腹を刺し貫かれているのだ。我の魔法で止血だけはしておいたが……すまない。我が司るのは火のため、本格的な治療の魔法はないのだ。なので傷口を焼いて血を止めることしか出来なかった。そして恐らくその傷では我が運んだとしても町に着く頃にはもうもたないだろう…」
「そう…ですか。」
私は自分の死を告げられているのに妙に納得することが出来た。だが落ち着いて自分の状況を整理することが出来たからか、思い出したのは自身の息子ジークの事だ。
「ジークッッ!?何処ッ!!ジークッッ!!」
体の痛みも無視して私はジークの姿を探した。
「落ち着け、人族の娘よ。お前が命をかけて守った坊主ならここだ。」
その言葉と同時にスカーレットの全身から光が溢れ、次にその姿を見ると赤髪を刈り上げた筋肉質の美丈夫が立っていた。顔立ちは比べることが出来ないくらいに整っており、鋭い目元が印象的である。身長は180センチ程でその手には赤ん坊が抱えられている。人化したスカーレットの姿のようだ。
「あぁ、良かった。ジークは無事なのですね?」
「うむ。この騒ぎの中でも落ち着いておった。
なかなか大物な坊主だな。」
そういってスカーレットはリアにジークを手渡した。リアはスカーレットから受け取るとジークを優しく抱きしめた。そして、決意を込めた目でスカーレットを見た。スカーレットはそれに気付くと真剣な目で見返した。
「スカーレット様。私はもう永くありません。貴方様のおかげでここまで生き永らえ、最期にジークを抱きしめることが出来ました。私の本来の力があれば回復魔法も使えるのですが、先程のアングリーベアの攻撃で魔力回路を破壊されたらしく魔法の行使も出来ないので、回復は絶望的です。
私の人生には後悔はないのですが、唯一の心残りがあります。」
「この坊主のことか。」
「はい、ご推察の通りです。ですので、ご無礼は承知の上でお願い申し上げます。どうか、この子を近くの街に送っていただき、孤児院に預けて欲しいのです。」
「良いのか?自身の大切な息子を孤児院なんかに預けてしまって。あそこは最低限の生活は保証されるが孤児の扱いは決して良いとは言えないぞ。過酷な人生になるやもしれん。」
「わかっています。ですが、そうするしかないのです。このままここに置いて行けば死んでしまうし、私と一緒に死んでほしくないのです。この子には生きていて欲しいんです!だから、最低な親だと思われても、この子に恨まれても良いので、どうか孤児院に送っていただけませんか?」
「………」
スカーレットはその場から微動だにせず、じっとリアの瞳を見ていた。そして少しの間があって…
「気に入った。お前のその覚悟、気に入ったぞ!
その覚悟に免じてお前の忘れ形見のこのジークは我が面倒を見てやろう。」
「!?」
リアにとって、その発言は衝撃だった。何故なら基本的に龍は世界にとっての危機に干渉し、その世界に住む様々な種族に干渉することはほとんどないと言われているからだ。
「本当に良いのですか?」
「あぁ、構わぬ。我は基本的には人間や他の種族には関心がないのだが、たまに我が気に入るやつがいるのだ。お前はそういう人間だ。何やらお前から漏れ出ている魔力にどこか懐かしい感覚があるし、この坊主からも同じものを感じる。孤児院なんかよりも快適な暮らしを送らせ、この世界を生きていくための知識や力も与えると我の名において約束しよう。どうだ我に預けてみないか?」
リアはたいして考えもしないまま頷いた。何故ならこれからジークを育てるのはこの世界では神にも等しい扱いの龍の内の一体なのだ。そんな龍と孤児院を比べ、どちらの方が良いかなど考えるまでもない。
「よろしく…お願いします。」
リアは泣きながらスカーレットに頭を下げた。リアとて好きで大切な息子を孤児院に送りたいだなんて思わない。しかし、どうしようもなかったのだ。身が裂けそうな思いで願いを口にしたが、その結果がジークにとって破格の提案なのだ。リアはスカーレットに感謝の念が絶えない。
「人族の娘ーリアが火龍スカーレット様にお願い申し上げます。息子をジークをよろしくお願い致します。」
そう言って腕に抱いていたジークをスカーレットに渡した。
「任された。その願い、確かにこの火龍スカーレットが叶えてやろう。」
「ジーク。貴方のこれからの人生に多くの幸せがあることを祈っています。お母さんはここでお別れだけど、ずっと見守っているから…
どうか…元気に生きて…」
そう言ってジークの頬を撫でた直後、リアの身体から力が抜けた。息を引き取ったのだろう。だがその顔はずっと痛みが体を支配していたはずなのに安らかな笑顔のままだった。
スカーレットはその場で龍化すると片手にジークを乗せ、もう片手でリアの近くに穴を掘り、慎重にリアをその穴に埋めた。そして近くにあった石を穴の上にさし、その場から飛び去っていった。
なるべく早く更新するので待っていてください。
あと感想一件ありがとうございます。
参考にさせてもらいます。