表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕、妖狐になっちゃいました 弐  作者: yukke
最終章 永遠無窮 ~いつまでも変わらない妖怪達の存在~
117/131

第弐話

 世界が滅亡するかも知れないこのピンチに、今僕達の頭は大パニックです。

 理由としては、災害が続いているのと……目の前の青い宇宙人さんですね。


「ふむ……人間達はもう頼れないでしょうし、ここは妖怪という存在の君達に頼るしかないですね」


 アクトゥリアンという五次元生命体らしいのですが、僕達からしたら宇宙人さんです。

 もう何も驚くつもりはなかったけれど、これには心底驚いちゃいました。初めて妖怪と会った時と同じ反応しちゃったよ。


「よ~し、時間がない。アクトゥリアン、戦力になりそうな奴等を選んで、空亡の所まで行ってくれないか?」


「分かりました」


「ちょ、ちょっと待て飯綱よ! とんとん拍子で話が進んでいるが、そいつは本当に信用出来るのか?! そもそも五次元生命体とはなんだ!」


 飯綱さんとアクトゥリアンさんで話が進む中、白狐さんが止めに入ります。当然です。本当に、そのアクトゥリアンさんが良い存在なのかが僕達には分からない。

 初めて会ったというか、僕達の知らない存在ですからね。怪しむのは当然なんだよ。


「ん~信用か……難しいな。時間もないのにどうすれば……」


「大丈夫です、飯綱……でしたね。私から簡単に説明します」


 すると、アクトゥリアンさんが僕達を見渡したあと、指を持ち上げ1本だけ光らせると、何もない空中に映像を映し出しました。どんな技術ですか……それ。


「あなた達は、三次元や四次元の事をご存知ですか?」


「えっと、三次元は空間だよね。それで、四次元が時間。僕達が今認識しているのは三次元までだったかな」


「えぇ、そうです。そして五次元というのは空間と似ており、亜空間や異空間、異次元の事を指しています。つまり、こことは別世界の空間や、並行世界の事などを指します。私達はそれを認識し、自在に行き来が出来るのです」


『…………』


 僕が答えた後、アクトゥリアンさんはそう言ってきました。五次元って……要するに別世界の事ですか。

 あれ、でもそれなら待って下さい。別世界の事なら、僕達妖怪は五次元を理解しているんじゃ……。


「おじいちゃん、今の話し……僕達も五次元を理解しているんじゃ……」


「なんじゃと?」


「妖怪だけの世界、妖界。あそこは異界だよね。五次元にならない?」


「あ~この世界に引っ付いている、変な世界の事ですか。あれは反転された裏世界のようなものですが、よくよく調べたら、増設されたこの世界そのものでしたね。つまり、空間を増設されたみたいなものであり、五次元とは少し違いますね」


 良く分からない事で頭がパンクしそうです……とにかく、妖界は五次元じゃないということですね。


「あの、とにかく、あなたが僕達の味方だという証拠を……」


「あぁ、そうでした」


 これ以上五次元の事を聞いても、頭が痛くなりそうなだけなので、僕はアクトゥリアンさんにそう言って、話を進めることにしました。

 そうしないと、楓ちゃんも美亜ちゃんも他の皆も、今の話しが理解出来ずに、頭がショート寸前になっています。


 それを見たアクトゥリアンさんは、空中に出した映像に目をやります。

 そこには驚くべき事に、広大な宇宙の映像が映し出されていたのです。


「ここが私達の住む惑星、アークトゥルスです。実際に存在していますからね。大丈夫ですか?」


「えっと……どこら辺にある星ですか?」


「この星の人達の言葉で言うと、うしかい座α星です」


 あぁ、あの明るい赤色巨星ですか。うしかい座で1番明るかったはずです。実際に映し出され映像にも、大きくて明るく光る惑星が映っていました。


「私達はこの星に住んでいますが、当然この空間ではないですからね」


「その別空間の話はまた今度で……」


 これ以上話をされたら、本当に頭がパンクしそうになるよ。


「分かりました。そして、私達がこの星を守っている証拠ですが、これをご覧下さい」


 そして、アクトゥリアンさんは3本の細い指を交互に動かし、映像を切り替えていきます。

 そこには、僕達の住む地球に向かって、沢山の隕石がやって来ている映像で、それをアクトゥリアンさん達が次々と破壊している姿、そしてビックリしたのは、有名なグレイ型宇宙人の円盤型宇宙船を、次々と飛行不能にして撤退させている映像でした。


『…………』


 当然、その映像を見た皆も言葉を失っています。アクトゥリアンさんが登場してからずっとだけどね。

 とにかく、このアクトゥリアンさん達が地球を守っているという証拠を、次々と出してきていて、僕達は唖然とするしかなかったです。


「もう良い、もう良いわ。分かった。儂等では理解出来ないところで色々な事が起こり、お主達が処理していたのは分かった」


「そうですか」


 そして鞍馬天狗のおじいちゃんが、もう沢山だって感じで止めます。

 この宇宙人さんが味方っぽいのは分かったけれど、それと空亡と何が関係しているんでしょう? もしかして、空亡が戦おうとしている相手が、別の宇宙人さんとか?

 そんな馬鹿なって感じがするけれど……アクトゥリアンさんが次に映した映像で、僕は自分の先読みする能力を恨みました。


 変なオーラをその周りに纏った赤黒い惑星が、地球を含むこの太陽系に近付いている映像でした。


「あなた方の中では知っている方は少ないでしょう。太古の昔、この惑星に金を求めてやって来た宇宙人、その母星である惑星ニビルです。今、これが再び地球へとやって来ているのです」


「空亡は、それを倒すために復活をして、そして太陽を居城に立ち向かおうとしている。ということですか?」


「はい、私達がいるというのに……太古の昔も、横暴になってきたアヌンナキをニビルへと返し、太陽系外へと私達が追いやっています。それなのに、あの妖怪は勝手な事を……」


 本当に勝手な事をって感じですね。というか……。


「アヌンナキってなんですか?」


「あぁ、人類の祖先である宇宙人です。知りませんか?」


 また聞き慣れない言葉が出て来たので、アクトゥリアンさんに聞いてみたら、太古の地球のロマン話をされてきました。

 これ以上はちょっと勘弁です。僕の習った人類史を覆されそうなんだけど……。


「わ、分かりました……とにかくアクトゥリアンさん。僕達は空亡を止めたいだけです。再び封印するか、倒せるなら倒してしまいたいんだけど……」


「そうですね。ただ、倒すのは不可能です。太陽を潰すようなものですから」


 そして、僕がアクトゥリアンさんにそう言うと、大きな目が僕の方を向き、ニッコリと笑ったような表情をしてそう言ってきます。でもごめんなさい、かなり怖かったです。


「これこれ、椿よ。我の後ろに隠れるな」


「ご、ごめんなさい白狐さん。異様な怖さがあったの……」


「おや、申し訳ありません。あなたは人の表情に敏感ですね。友好の思いで笑顔になったのですが、どうしても見透かされますか」


 そうですね。このアクトゥリアンさん、僕達を下位の存在だと思っていて、見下してはいないけれど、どうせ自分達の話しなんか通用しないというような、哀れみというか、救ってやろうというか……。

 ただ、そんな感情が本当にあるかも分からない、変な感覚が僕の身を襲いましたね。


 だから単純に怖かったです。僕達の理解を超えるもの、その全てを知り尽くした上で僕達に接しているから、だから怖いんです。


「お母さん可愛い」


「ふふ、初めて女の子になった頃の椿ちゃんみたい」


「……あっ」


 しまった。皆が見ている中で、情けない姿を見せちゃいました。このままじゃ示しが付かないよ。


「よし、アクトゥリアンさん! 早速空亡を倒しに……」


「あぁ、焦らない焦らない。先ずはこの地球を救わないといけないでしょう? このままでは、空亡を倒す前に人類が滅びますよ」


「ひぇあっ!!」


 すると、白狐さんの背中から意気揚々と出て来た僕の前に、アクトゥリアンさんが一瞬で移動してくると、その手を僕の頬に這わせて来ました。

 ヒンヤリしたと思ったら、人の体温と同じような温もりがあって、でもカサカサしてて……またビックリして天井に張り付いちゃったよ。


「可愛いですね。こんな感情は久しぶりです」


「ぼ、ぼぼぼ……僕で遊ばないで! それどころじゃないんでしょう?!」


 またニッコリと笑顔を向けられたけれど、今度は純粋に僕の反応に嬉しがっている顔でした。遊ばれてるよ……僕。


 とにかく空亡を倒しに行く前に、この地球の状態を何とかしないといけないんですね。それなら、全妖怪の力を使って何とかしましょう。


 アクトゥリアンさんなら、今の状態から脱する術を知っていそうですからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ