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あなたの行くままに  作者: 雅音虎
1章:別れと再会
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-2-

 俺は、いつも通りに徒歩で駅に向かい15分ほど電車に乗って、途中の駅から乗り換えをする。到着かと思いきやまた30分ほど乗る。そうして向かった会社は、地上40階建てでガラス張りのビル丸々その勤めている会社という、普通の人から見たら大企業と言えるモノだ。このビルに俺は迷わずエントランスに足を向けた。このデカイ建物の30階で俺は普段働いている。いつものように受付でカード認証を行い、それに応じて動くエレベーターで30階まで上がった。この会社は1フロアだけでも5、6フロアに分かれているほど広い。それだけこの会社の財力が目で見てわかるのだ。またフロアの仕切りはガラスでのため開放感が溢れている。俺はエレベーターから降りてすぐに右に曲がり、20メートルほど行った1フロアで足を一回止めた。俺の担当する部署だ。

 「おはようございます。朝比奈さん。」

 「おはよう、各務さん。」

 普段の仕事場に入り、一番に声をかけてくれたのは俺の直属の後輩、各務香かがみ かおりだった。彼女は課長である俺の右腕的存在で部署の中でも人望が厚く、様々な人から慕われている。黒髪のセミロングで目はぱっちりしている。口はピンクのグロスを添えているが、服はスカートよりパンツを履いていることが多い。なぜスカートでないのかがもったいないほど美人だ。彼女の後に続いてもう会社に着いている部下たちに挨拶をされながら俺は自分の席にゆっくりと腰を下ろした。ふとなぜか今日電車のことを考え始めた。(今日も電車が混んで腰が痛くなったわ。かなりの時間押し潰されてしまった。普段よりも確実に電車が混んでいた。乗り換えの駅から乗る電車は普段は混んでいると言われれば混むと思うが、そんなに混むような路線でもない。これは今日何かあるのではないか・・・。)

 「・・・さん、朝比奈さん!」

 こんなくだらないことを考えていたため、案の定俺は各務の呼び止めに気づかなかった。顔をデスクの真正面にあるパソコンからすぐに目を離して、各務の声の聞こえた90°右に回転して、慌てて聞いた。

 「ごめん、どうした?」

 「今日夜飲みに行きませんか。私最近お酒飲めていないので朝比奈さんと一緒に飲みに行けたらと思って・・・。」と耳にかなり近づけて小声で各務は言った。

 「いいよ、今日丁度飲みに行こうか考えていたから。」

 「そうですか!?では行きましょう!」

 彼女の顔は嬉しそうだ。あれ?これ朝も妹の笑顔に励まされていたけど・・・俺は、ここでも気持ちが高ぶってしまった。何をしているのだ、俺は。落ち着け、調子乗っているのではない俺。しっかりしろ!俺!!・・・。と、とととりあえず妹に今日は遅くなるからコンビニ弁当でも買って自分で食べてくれって言っておかないとな。まぁ友達と買い物するって言っていたから一緒に食べてくれれば良いのだけどな。妹のことを心配しながら迷惑をかけるのもよくないので急いで連絡して各務と話していた角度から真正面に戻って自分の作業に入った。


 その後は会社の仕事をこなして、午後は会議にも出席して企画書の内容をプレゼンテーションした。新規企画のプレゼンテーションは俺の勤めている会社はまちまち行われている。1か月毎日新規企画のプレゼンが行われている時もあれば、3か月全くないという時もある。しかしプレゼンを見て新規プロジェクトとしてどのようにするかという審査員の考えが固く、というか審査員自身の頭が本当に回っているのかどうかわからない上層部が行う。せっかく考えてきてプロジェクト化間違いないというような案件でも審査員は必要無いのと思って不採用にする確率が高い。当然俺もその確率の中にいた。全く、なんでまだ上層部が痛手になっているのやら。もうこの新規企画の改良5回もしているし、他の人の意見も踏まえてメリットを多くしたのに不採用になるか。いい加減通してくれよこの案件とグチグチ言いながら今日の仕事を終えた。

 「さあ、行きますか?」

 各務に肩をトントンと叩かれて俺に言ってきた。

 「そうだな、行きつけとかあるの?」

 「それはー、1つや2つくらいありますよ!そうじゃないとやっていられないっていうか、パーーっとストレスから解放されたいっていうのもあって・・・」

そうだな、この人は外見からはそんなに努力してないように見えて、結構働いているからな。彼氏の1人や2人いてもいいのに。というか仕事の相談だし、上司である俺が聞いて今後の参考になってもらいたいし、そのような情報も俺は欲しいからな・・・。昔の俺を見ているみたいだ。そう思って会社のエントランスから出た。


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