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08

「っ、はぁ、はぁ、はぁ」


 目の前の5人の男達に剣を向け対峙している。


「さっきまでの威勢は、どーした。こねぇ~のか?」


「頭、遊ばないでさっさと攫って帰りましょうや。早く犯したいっすよ」


「アホか!!追い詰めて追い詰めて、こんないい女が自分からケツ振って命乞いするのが、楽しいんじゃね~か」


「へっへっへっ、ちげぇね。犯す時が楽しみじゃーねか」


 卑しい笑みを浮かべながら、下衆な事を喋っている。


「くっ」


(体力もMPも使いきり、この森の中じゃ助けも期待できない。このまま身を汚されるくらいなら、自害したほうが・・・)


 剣を握りしめ、決心する。


(ゴメン。エミー)


「っぅ!!」


 決心した瞬間、ナイフが右腕を掠めて痛みが走る。


「おいおい、変な気を起こすんじゃねぇ~よ。死んじまったら、鳴き声が聞こえなくなるじゃねぇ~か」


(これぐらいで・・・・・っ!!)


 腕に力を入れるが、力が入らず剣を上手く握れない。


(なんで?なんで力がはいらないの?そ、れに、なんだ、か意識、が)


 足にも力が入らず意識も朦朧とし、その場に崩れ落ちてしまった。


「あ~ぁ、これ使っちまったら、中々起きねぇ~から使いたくなかったけどよ~起きてから、たっぷり楽しませてくれや~」


「頭、この状態でもいいじゃねーですか?」


「お前な~泣き喚いてるのが、いいんだろうが~」


「久しぶりの女だ~壊れるまでは、飼ってやっからなー」


「オラ、お前等さっさ連れて帰っぞ~」


 意識がだんだんと薄れゆく中、男が近づいて来る気配がする。これからの事に絶望し涙が流れると同時に、何かが倒れる音が聞こえて意識を失った。






「あ~疲れるわ~。走るのは速すぎなんだよ。でも、今日の飯は・・・・・えへへへへ」


 ずんぐりむっくりした鳥を片手に持ち、湖に向かって歩いている。


「・・・・・こっちから来たよな?」


 しばらく進んだ所で立ち止まり、周りを見て言葉を漏らす。追いかけるのに夢中で、湖に帰る道がよく分からないのだ。


「こいつ、追っかけると大変な目にあうな~」


 鳥を顔の高さまで上げ、悪態をつくが顔には笑顔が張り付いている。こんな状況なっていても、この鳥の美味しさが勝るのだ。


 湖があるだろうと思われる方向へ進んでいたら、突然、声が聞こえてきた。


「ん?あっちに人が居るのか」


 異世界人とのファーストコンタクトを取ろうと、声が聞こえた方へ走って行く。向かってる途中にゲスな会話が聞こえ茂みに隠れ状況を確認すると、女の子は腕から血を流し倒れ、5人の男の中の1人がすでに女の子に近づいている。


(あの会話からするに、女の子を助けなきゃだな)


 弦を引き絞り、指を放す。放たれた矢は女の子に近づいていた男の頭に吸い込まれた。


「なんだ~?」


「おい、どうしt」


 喋りかけていた男も、矢の洗礼を受け倒れる。


「お前等、あそこだ~あの茂みから放ってるぞ~」


 傷顔の男がそう言い放つと、隣の男が何か言って手をこちらに向けた瞬間、石の塊が放たれた。


「うおぉぉぉーーーー」


 バレーボールぐらいの石の塊が、かなりの速さで飛んできて、思わず叫んで茂みから飛び出してしまった。


「ガキじゃね~かぁぁぁ~、よくもやりやがったなぁ~さっさと、ぶ殺せぇぇぇ~!!」


 1人の男が剣を握り、走ってきた。すかさず腰からダガーを抜き構える。


 上から剣を斬りつけてくるのを右に避け、その丸見えになった男の左の首筋に目掛けてダガーを振るい、首を掻っ切った。と、同時に腹の辺りにチリチリした感覚がし、その感覚に従い後ろに跳んだ瞬間、死体となった男とユウトの間に石の塊が通り過ぎて行く。


(ん!!)


 後ろに跳んだ俺を追いかけるように危険回避スキルの感覚があり、しゃがんで避けその上をバトルアックスが通過する。


「くそ、くそ、当たれ当たれよ」


「くそがぁ~このガキィィィ~~~~」


 傷顔の男はバトルアックスを振るおうとし、隣の男は引きつった顔で詠唱しようとしている。


「シッ」


 傷顔の男にダガーを投擲し、何も持って無い手で、もう一度同じ動作を行う。


 傷顔の男は怪訝にしながらもバトルアックスでダガーを弾く。と横から倒れる音が聞こえ、顔を向けると子分が前のめりに倒れ、その地面に血の海が広がっている。


「テメェェェ~~なにしやがった~」


 ユウトは鍛冶魔法の特性を活かし、投擲途中でダガーを製作して魔法使いに投擲したのだが、そんな事を知らない相手は、何をしたのか分からないのだ。


 傷顔を真っ赤にして、聞いてくるが男はユウトを見て、徐々に冷静になって余裕を持ち始める。


「ははは、てめぇ~素手でどうしようってんだぁ~」


 嬉々としてバトルアックスを振り降ろしてくるが、それを避けながら魔法を発動しバトルアックスを持つ腕を刺した。


「ぎゃああぁぁぁぁぁーーーーーー」


 傷顔の男は腕を襲った激痛に顔を歪め叫ぶ。ユウトは腕にダガーで突き刺したまま、男に声をかける。


「おい、あの子に何か使ったって言っていたけど、何をした?」


「ス、スリーピングポイズンをつか、た」


「どんな効能だ?どうやって解く?」


「い、意識を、うばって、眠らせる。はぁはぁ。半日、経てば解ける。た、たのむ命だけは助けて、くれ」


 ユウトはどうするか考えたが、まぁーいいかと思い、腕からダガーを抜き女の子方へ歩いて行った。


「へへ、ありがてぇ~~~・・・・・死ねやぁぁ~クソガキがぁ~~~」


 背を向けたユウトにバトルアックスで襲いかかる。こちらにまったく反応ができず殺ったと思ったが、突如、胸に槍が刺さり動きが止まる。


「ど、ゴフッ、ど、うして、わか、った」


「小説じゃ、お馴染みなんでね」


 ユウトは傷顔の男に背を向けたまま、左手からは逆手に持った槍が握られていた。傷顔の男は自分から刺さり「小説じゃ、お馴染みなんでね」と言う意味の分からない事を聞いて、この世を去ったのだった。


 さてこの子なんだけど、半日は目覚めないって言うし、とりあえず湖まで連れて行って休ませるか。






 どうにかこうにか湖を探し、テントとベッドを製作しベッドの上に女の子を寝かせ顔に付いた土を拭いながら思う。


(この子すごく綺麗な子だな~。髪はサラサラだし色は緑がかった金髪でこれまた綺麗だ。それにこの特徴的な耳、エルフだよな。この子)


 腕の他に傷が無いか確認するが見える範囲では傷はなさそうだ。靴と脚のアーマーと篭手を外し、傷の有無を確認し、


(これ確認の為だから、やましい事一切無いから)


 と、自分に言い訳をしつつ腰と胴のアーマーに手をかける。


(なんだか。こ、興奮する・・・・・イヤイヤ、傷の確認の為だから、興奮とかしないし)


 極力触らないように胴のアーマーを外し目を見張る。


「なんですとーーーーー!?む、胸がでかい!!この子はエルフじゃないのか?いや、でも耳は・・・」


 その時、エルフ?の子が身じろぎし、目覚めたと思いこの胴のアーマーを手に持った状況を、どう言い訳するか高速に考えるが、寝返りを打っただけで目覚めた様子も無い。


「そりゃそうか、半日は目覚めないもんな」


 かなり焦ったが段々と落ち着いてきて装備一式をベッドの横に並べ、外に出てテントにもたれながら目覚めるのを待つことにした。

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