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07

 日の出とともに出発して、泉で革の水筒に水を補充している。そして泉から出た場所には、頭に矢を受けた4匹のゴブリンの亡骸がある。水を飲んで西の方へ歩いて行くのを俺が射殺いころしたのだ。


「確か、昨日のゴブリンも西へ立ち去って行ったな・・・・・」


 西以外の方角からきて西に進んだのか、それとも西からきて西に帰ったのか。もし西からきたのなら、ゴブリンの住処が在ると考えた方がいいのか。だが、こんな草原に住みかなんて作れるのか?とも思う。


「ん~~~よし、南に行こう」


 ゴブリンの住処が在ると考えた場合、【めんどくさい】これの一言につきる。そう考え、南の森に足を進めていった。





 ザシュッ


 骨のダガーがオオカミの喉を斬り裂き、それと同時に別のオオカミが横から噛みついてくる。噛みつきを横に飛んで避けた所に、またも別のオオカミが飛びついてくるが、それを小楯で受け流す。そんな事を繰り返しながら、戦い移動し続けている。


「こんな事ならゴブリンの方が、マシだった~」


 こんな事になった前の話だ。泉からグラシーラットやゴブリンを倒しながら3時間ぐらい進んでたら、突如、遠吠えが聞こえたのだ。遠吠えが聞こえた方を見ると、1.5メートルぐらいの灰色のオオカミがこちらを見ていて、その周囲から次々とオオカミが現れ、こちらに向かって走ってきたのだ。そしてこの現状だ。一体一体は、この前の白いオオカミほどの強さはないが、数と連携で攻めてきて、中々めんどくさい。


「あぁ、鬱陶しい」


 一匹のオオカミが噛みついて来たのと同時に、左右のオオカミも詰め寄ってくる。足に噛みつこうと開いた口を、無理やり閉じるように下から顎を蹴り上げ、左から飛びついてくる狼を小楯で叩き落とし足で首の骨を踏み砕く、右から詰め寄ってきたオオカミが爪を振るったのを、前方に飛び転んで回避しその勢いのまま立ち上がる。


「ちっ、いってぇ」


 いや、回避しきれていなかった。足を掠りズボンが裂け皮膚には血が滲む。それだけでなく、身体中には無数の傷が出来ている。オオカミ共はこちらを見て、またも唸り声をあげ、周囲をぐるぐると回り始めた。


「このままじゃ、ジリ貧だ。なにか手はないか?」


 う~~~ん。あ!!これは群れだ。群れの下っ端なんて仕留めても、リーダーがいる限り攻めてくる。この群れのリーダーは最初に見た奴だ、あいつを仕留めれば、こいつらは逃げるだろ。どいつだ?オオカミの攻めをかわしながら、群れをよくみる。


「あいつか」


 顔には傷があり他とは雰囲気が違うオオカミが一番後ろにいた。問題はあいつまで、どう辿りつくかだが。


「いくぞ」


 その場から走り逃げだす、虚をつかれた周囲のオオカミ共が急いで追いかけてくるのを見て、急反転し一気にリーダーオオカミの元へ走り出す、周りのオオカミ共はその行動に対応できず、置いていかれる。目の前にはリーダーオオカミのみ、炙りだせた様でかなり距離が近い。


 リーダーオオカミは唸り声をあげ口を大きく開け噛みついてくる、それにカウンターで右手を前に突き出すと同時に鍛冶魔法を発動する。リーダーオオカミは口から胴まで目の前に現れた骨の槍につらぬかれて息絶えた。それを見た、他のオオカミ共は急いで踵を返し去って行った。


「あぁ、さすがに疲れた~」


 確実に去ったのを確認してその場に座り込み水を飲む、ゴブリン共と比べられない程の連携攻撃に戸惑い。精神的に疲れたのだ。


「でも、初めての魔物だ。素材だ、憶えられるかな」


 横たわってるリーダーオオカミを鍛冶の目利きで視る。


[Fランク素材 グレイウルフの毛皮と牙と爪と骨を憶えました]


「おぉーFランク素材だ。こいつFランクの魔物だったんだな。でも、Fランクにここまで手こずるとは、まだまだだな」


 ため息を吐き身体中の傷をみる。





「・・・・・マジか。目印もなんも無いから分からん」


 10分ほど休憩し立ち上がり前を見る、どこから来たのか分からない。振り返ると、もう森が近い。どれだけ狼との戦いに熱中していたのだろ。


「今日は探索だったのに旅立ちになってしまったな~」


 まぁ、いずれ出て行くんだ。それが早いか遅いかの違いか。そう思い森まで歩いて近づくと森と草原の間に草木が所々しか生えていない場所が左右に広がって続いている。


「これは・・・・・道か?」


 てっきり道なき道を歩くと思ってたが、これをどちらかに進めば人の住んでる所に辿りつくじゃん。問題はどちらに進むかだが。腰から骨のダガーを抜き、上に放り投げる。回転しながら骨のダガーは地面に落ち切っ先を右、西に向けた。


「西か」


 骨のダガーを拾い、腰に差し西に向かって歩きだした。





 あの旅立ちから、もう6日目の朝になる。今までまったく人にも会っていない、住んでる所は見えない。そんな状況の中、


「よっしゃ~10匹目!!」


 俺は森の中の湖で釣りをしている。すっげー入れ食い、楽しくてしょうがない。この湖を3日目に見つけ、それから住み続けている。


 焚き火の周囲には串に刺した魚から、美味しそうな匂いが漂う。その焼き魚を食べながら、なんで湖にいるかとか俺の今のステータスを語ろう。


 なんで湖にいるかだが、簡単だ。飯(鳥)を追いかけてたら見つけた。以上。そしてステータスだが、こんな感じだ。


 ユウト・カミシロ 17歳 男 人間


       HP   30/30(+7)

       MP   55/55(+5)

       筋力  29(+7)

       耐久力 31(+8)

       器用さ 28(+4)

       俊敏性 30(+7)


       スキル 鍛冶の目利き 無詠唱 体術LV4短剣LV4剣LV2槍LV3弓LV4短剣投擲LV2小盾LV4無手LV3気配察知LV1危険回避LV1

       魔法  鍛冶魔法Lv2


 ステータスとスキルも上がって、新しいスキルも覚えたのだ。


 気配察知は周囲の気配がわかりLVが上がる事に鋭敏になり、危険回避は相手からの攻撃が感覚的にわかりLVが上がる事に鋭敏になるだった。


 そしてなによりやっと鍛冶魔法がLv2に上がった。


[鍛冶魔法Lv2 Fランク素材の武器・防具・その他を製作できる。素材は必要無く形状・重さ・デザイン等をイメージすれば色々な武器・防具等を製作できる。自作した物を次から鍛冶魔法で製作できる]


 自作した物を次から鍛冶魔法で製作できるって見た時、すごく嬉しかった。毎回毎回、弓切り式火起こし器を自作するの、めんどくさかったんだ。


 って事を考えてると、カラカラっと鳴子の音がした。この鳴子も弓切り式火起こし器と同じで最初、鍛冶魔法で製作出来なかったのだ。だから、一生懸命、自作した。


 グレイウルフの素材から製作したダガーを構え、音の聞こえた方を見る。そこに居たのは、この湖にきた原因のずんぐりむっくりした鳥だった。


「あ!!」


 急いで仕留める為にダガーを投擲するが、ずんぐりむっくりした鳥は、その体型に似合わず俊敏な動きで避け森の中に走り去っていった。すぐさまダガーを拾い、去っていった方へ追いかける。


 なんでこんなに急いでるかと言うと、あの鳥はめちゃくちゃ足が速くすばしっこい。そして、めちゃくちゃ美味い鳥なのだ。そんな鳥をどう仕留めるかと言うとスタミナが無くなるまで追い続けるだ。


「逃がすか~~~」


 そう言い森の中に消えて行った。

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