05
異世界に来てから、7日が過ぎた。ステータス・スキルが増え、LVまで上がった。新たな戦い方も覚え、ちょっとは強くなったのだ。
ユウト・カミシロ 17歳 男 人間
HP 23/23(+6)
MP 50/50(+5)
筋力 22(+4)
耐久力 23(+7)
器用さ 24(+7)
俊敏性 23(+6)
スキル 鍛冶の目利き 無詠唱 体術LV4短剣LV3剣LV2槍LV3弓LV4短剣投擲LV2小盾LV4無手LV2
魔法 鍛冶魔法Lv1
スキルの説明をすると、短剣・剣・槍のスキルはその武器を使用時に、無手は殴る・蹴る・投げるなど素手の時に、攻撃力をLV補正してくれる。弓・短剣投擲は命中率が上がり、小盾は防御率があがる。体術は身体の運動性能が上がる。無詠唱は詠唱無しでイメージすれば魔法発動できるようになる。鍛冶魔法は残念ながら上がらなかった。
今日はトラウマを乗り越えようと思う。そうしないと次に進めないのだ。あの死にかけた日からグラシーラットと接近戦はしてるがゴブリンとは接近戦をしていない。だがステータスも上昇しスキルも増え、あの時とは違う。できるはずだ。
俺は装備した骨のダガーで、石の実におびき寄せられたグラシーラットを狩りながら待つ、何匹目かを倒した時、虚脱状態のゴブリンが5匹現れた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
あの時の事が頭によぎり、動悸が激しくなる。だけど、乗り越えてみせる。深呼吸をして。
「よし、やるぞ!!」
ゴブリンから2メートルの所まで近づいた途端に虚脱状態が解除され、ゴブリンが奇声をあげ、横に広がりながら、こちらに走ってくる。
「シッ」
すかさず右端にいるゴブリンに骨のダガーを投げる。こちらに回り込もうとしていたゴブリンは顔に骨のダガーを生やし倒れた。それを見つつ、次は左端のゴブリンに向かって走る。
「ハッ」
残り距離が1メートルになった時、ゴブリンに向かって右手を突き出した瞬間、骨の槍がゴブリンの胸を突き殺した。瞬く間に2匹を葬り、残り3匹になった。
これが新たな攻撃方法だ。鍛冶魔法は発動した瞬間にパッと製作した物ができるのだ。それなら、素手で剣を持ってるように素振りをした時、途中で剣を製作すれば、そのまま剣を振れるのでは?と試したら出来たのだ。この使い方は色々応用が出来るのだ。
その隣にいたゴブリンが棍棒を横薙ぎしてくのが見え、槍の柄で防ごうと思ったが、刺さりすぎて抜けず、槍を手放しバックステップで回避する。
「なっ!?」
回避した先で右横から棍棒が振り下ろされてきた。3匹中の右端にいた奴が、いつのまにか近寄っていたのだ、一点に集中しすぎていたみたいだ。
「ちっ、くらうか!!」
あの時とは違う、あの時は素手でガードしたが、今回は瞬時に製作し、右の木の小盾できっちりガードした。おまけとばかりに左手に製作した骨のダガーを逆手に持ち、ゴブリンの首に刃をプレゼントする。
「オラァ」
前蹴りを放ち、死体となったゴブリンを蹴り飛ばす。それに巻き込まれて倒れたゴブリンを無視し、立っている奴に一気に近づいた。小楯を顔に強打する。がら空きになった胸へと骨のダガーを突き立てた。
「ラストーーーーー」
立ち上がったゴブリンの横を駆け抜けるのと同時に骨のダガーが首を掻っ切っていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、何だろトラウマを乗り越えたのに、別に込み上げてくる物はないな。もっと感動すると思ってたけどな~でもこれで周囲の探索に出られる」
今の戦闘を反省しつつ結界内に帰って行った。
あれから帰って来て、すぐに探索の準備を始めた。石の実を100個、革のバッグに収納し終わったので背負ってみる。
「お、重い。これは戦闘になったらマズイ」
すぐに降ろせるように担いでみるか?と思って担いでみると肩に食い込みキツイ。なのでバッグを2つ製作して50個ずつに分けた。
準備ができ西の方へ進む事にした。初めにバッグに入れてない石の実を進む道の周りに、これでもかってほど撒いた。
「よし、安全第一で行くか」
骨のダガーと木の小楯を装備して結界の外へ進んで行く。約20メートルごとに、左右に石の実を投げては周囲を確認し、進んでいく。こちら側の草は前と違い背丈がそんなに高くない膝下ぐらいだ、索敵がしやすく進みやすい。
「ん?犬か?いや、オオカミか?それにでかい」
道中、初めて見る魔物が石の実に誘われていた。毛の色が白い体長2メートルぐらいの大きさのオオカミだ。
「初めての魔物だが・・・・・1匹だし、やるか」
骨のダガーを構え一気に近づく、途中で虚脱状態が解除するがこのスピードなら、このまま倒せる。
「シッ、な!?」
スピードに乗った状態で喉を裂こうと横薙ぎに振ったら空をきった。オオカミはその場で伏せて回避し、短く吼え、こちらの振った腕に噛み付いてきた。
「おぉ!!」
噛み付かれる前に腕を引き、上がった顔に向けて右の膝蹴りを入れるが、バックステップで回避された。
「こいつ、早い。まったく当たらん」
オオカミが一気にこちらに走って来て、その太い右前足で叩きつけてきた。
「ぐっ重!!」
それを小楯で受け流し、オオカミの体勢が崩れた所へ骨のダガーを突き出したが、またもや紙一重で避けられた。お互いに距離を置き、出方を伺っていたらオオカミが踵を返し去っていった。
「ふぅ~なんだあの白いオオカミ、強すぎだぞ」
今回は魔法を節約の為、使わなかったが次はしょっぱなから、使っていく。そう思いながら白いオオカミが去った方を一瞥して、先へ進んだ。
今、俺は立ち止まって身を屈めて前を見ている。あれから40個の石の実を投げて進んだから、約400メートルは移動している。その間、全く魔物と戦闘はしていない石の実のおかげだ。その石の実を投げて周囲を確認したら、左前方100メートルぐらい先にゴブリン共が居たのだ。
別に今さら、ゴブリンにビビッてない。いや、ホント、マジで。さっきから立ったり、しゃがんだり、と変な動きをしてるから、見てるのだ。
「なにしてんだ?・・・・・あっ、どこか行った」
すごく気になった俺は予定していた進路からずれるけど、そちらに向かって進んだ。近づいて行くと小さな音が聞こえた。
「まさか!?」
俺は一気に走りその場所まで行って見た物は
「泉だ!!水がある!!」
俺が聞こえた音は、チョロチョロと水が湧き出てる音だったのだ。ゴブリンの変な行動は、水を飲んでいたんだと分かった。調べてみると、泉の大きさは3メートル四方ぐらいで深さは水が湧き出てる所は10センチぐらいで深い所は1メートルぐらいありそうだ。
「あぁー久しぶりの水浴びだ~~~おっと入る前に水を飲もう!!」
それにしても、涙が出てくる。今の俺の姿はヤバイのだ。所々に血の後が付いており、匂いも臭い。このままいけば、魔物に殺られる前に衛生面的に病気で殺られると思ってたぐらいだ。
「こんな近くに泉があるなんてな~あんな所に神樹の苗、植えるんじゃなかったな」
そんな事を思い、制服・Tシャツ・パンツを洗っていく。頭も入念に洗い体も洗っていく。シャンプーと石鹸が欲しい~~~~~
「まぁ、過ぎた事、言ってもしょうがない。結界からここまで走れば、一分もかからないし。これからは毎日、水浴びが出来る」
のんびり浸かりながら、この水はどこに消えてるのかを考える。水の流れは、西へと向かってるが、流れ出ていく場所が見当たらないのだ。でも、流れがある事は、この先に川があるかもしれない。今後の向かう先を南の森にするか、川があるかもしれない西へ向かうかを水に浮かびながら考えるのだった。