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04

 あれから考えた事を検証してみる。まずはゴブリンを倒した時、イメージも詠唱もしてないのに槍が製作できた事についてだ。俺の考えでは鍛冶魔法発動のプロセスは、頭でイメージする、詠唱、発動ってなる。


 歩く動作で例えるなら、頭の中で考えて[足を前にだす]声にだして「歩く」と言う、そして歩くって動作だ。つまり、頭の中で考えて[足を前にだす]が鍛冶魔法の製作時のイメージ、声にだして「歩く」ってのが詠唱、歩く動作が発動だと思う。


 歩く動作をする時、いちいち考えて声だして動かない、無意識におこなってると思う。なら、鍛冶魔法も同じで無意識に発動できるはずだ。


「・・・・・無意識に発動って、どうするんだ?」


 今まで詠唱して発動させていたから、いまいちやり方がわからない。まずは、詠唱を声にださないで、頭の中で唱えてやってみよう。


「できた」


 やっぱり口で唱えなくても、魔法は発動はする。これを練習して慣れれば、いつのまにか無意識に発動できるはずだ。


 次は神樹しんじゅ の実について考えてみる。なぜ石の様になってしまったかだが、初めは採ってからの時間かと思った。だがあの時、採ってから使うまでの時間は1、2分ぐらいだったと思うし、長くっても3分だ。食事の時なんか、普通に採ってから3分以上経ってるけど、変化なんか見たことない。見てたらあてにしない。だとすれば結界内でしか使えないのかもしれない。1つ手に持って結界から出てみる。


「ハハ・・・・・マジか」


 予想はドンピシャだった。結界から出た瞬間、石の様にに変化した。さっき流したのに涙が出た。なかば予想してたけど、現実を見たらきつかったよ。これで外での回復手段が無くなった。と言う事は、戦う場所は結界内か結界近辺になる。さらに問題はこの草原帯を抜ける時だ、回復無しの食料無しなのだ。


「どーすれば、いいんだよ」


 考えられるのは半年の間に人が来てくれる事、来てくれなかったら死ぬ気で草原帯を突破だ。期限は半年でどこまで強くなれるかだな。


 最後に戦い方だ。外で回復ができない以上、有利に立ち回らないといけない。メインはやっぱ弓で先に魔物を見つけ、先制攻撃を取る。そして接近されても対応できるようにサブに剣を装備する。あと、最終手段として盾をすぐ発動できるように練習する。あの時みたいに素手で魔物の攻撃を防いで窮地になるのは懲りた。


 なんで最終手段かと言うと、盾を装備したまま弓は使えない。接近される度に盾を製作すれば、MPがすぐ枯渇する。だから緊急ように回避できない攻撃にたいして使う事にする。こう考えると色々問題点が浮き彫りになる。回復は無いし最大MPが少ないおかげで、新たに製作できる回数は4回なのだ。


「ハードモードか?」


 初日の浮かれていた自分を殴り飛ばしたい。まぁ、今は結界の近くで、鍛冶魔法と接近戦の練習をして、1歩1歩強くなって行こう。





「フッ、フッ、ハッ」


 木の剣と木の小盾で、グラシーラット3匹と接近戦中だ。グラシーラットは噛み付いてくるか、飛びついてきてからの噛み付きしか攻撃手段が無く対処がしやすい。普通に噛み付いてきたら剣で叩くか、ローキックを打ち込むかだ。飛びついてきても剣か小盾で叩き落とすかだ。


 戦いを終え結界に帰りながら、先ほどの戦闘を省みる。全部で5匹いたグラシーラットを弓で先制し、2匹減らした。残り3匹が近づいて来くる間に剣と盾を製作して接近戦をした。できれば、最初にもう1匹ぐらいは倒したかった。だが、悪い所ばかりじゃなかった。鍛冶魔法の同時発動ができる発見があった。あせって、剣と盾を同時にイメージして製作したら出来たのだ。嬉しい誤算だ。


 問題は武器だ。やはり木の剣の攻撃力が弱い上位の素材があれば勝手にできるのに、骨の剣は出来なかったのだ。仕方なく自分でイメージして製作すると[グラシーラットの骨では剣は製作できません。骨のナイフなら製作可能です]と表示されたのだ。攻撃力をとるか、長さをとるか悩んだ末、長さをとったのだが、やはり弱かった。グラシーラット相手なら、色々試すのもありかもしれないと考えていたら、結界に着いた。





 あの後、昼ぐらいまでにグラシーラットと5回も戦闘をしている、今までに無い遭遇率だ。そして毎回、同じところに集まっている。その集まっている場所は、あの使えない石の様になった神樹しんじゅ の実を逃げる為にゴブリンに向かって放った場所だ。


「まさか・・・・・」


 検証の為に使って石の様になった実を反対の方向へ投げ捨てる。後は待つだけだ。昼食をとりつつ待っていたら、ゴブリンが2匹来た。結界の境界線まで行き、ゴブリンとの距離が約5メートルになったが、こちらには無反応で、石の様になった実の周りをうろうろ歩いてる。


 弓を構え矢を放つ、矢は綺麗に頭へと刺りゴブリンが倒れた。倒れた瞬間、残りのゴブリンがこちらを見て、奇声をあげる。瞬間、矢が射られ、沈黙をした。


「やっぱりそうだ。石の様になった実におびき寄せられている。これは使える。これでここから離れなくても、効率よく魔物倒していける」


 この発見で石の様になった神樹しんじゅ の実について調べてみた。効果は魔物をおびき寄せて虚脱状態にする。2メートルほど近づくか、敵対行動で虚脱状態が解除する。敵と認識されてる状態で使っても効果はなかった。効果時間は1時間ぐらいで複数使ったら効果時間は伸びるようだ。効果範囲は分からない。使用方法だが、地面に置いて効果がでるようで、バッグとかに入れていても効果はなかった。これからこの石の様になった実を石の実と名づけよう。


「どのランクの魔物まで効果があるか分かんないが、これを遠くに放りながら進めば、魔物と遭遇率が下がり、探索や草原帯から出る時に使える。自力ではここから出て行けないと思ったが、これを使えば、可能性はあるかもしれない」


 そんな希望がでてきて、俄然やる気が増したのだ。





 あれから石の実を有効に使い魔物を駆逐していく。グラシーラットで接近戦の技術をメインで上げゴブリンでは弓の技術を上げている。


「ん?・・・・・・雨だ」


 昼を過ぎたあたりから、雲行きが怪しいと思っていたが、恵みの雨だ。どんどん雨が強くなってくる。


「やったーーーーーこれで水が飲める、体が洗える」


 異世界に来てから水が一切無かったのだ。喉は神樹しんじゅ の実で潤ってたけど体は洗えなかった。はっきり言って困ってた。俺、日本人、風呂大好きの国から来ましたですよ。


「ひゃっほーーーーーめっちゃ気持ちいい。この草原の中、マッパになる開放感。なにか目覚めそうだ」


 雨のシャワーだけじゃ物足りなくなって、鍛冶魔法でタライを製作して雨を溜めて風呂を作る。


「底が浅くて風呂って感じじゃないけど、あぁ~やっぱ浸かるのはいいわ~」


 そこに桶を製作し、桶に溜まった水を飲み始めた。


「ゴク、ゴク、ゴク、プハァ~~~あぁ~まさか、雨水がこんなに美味いとはな~日本に居た時に、雨水飲むなんて考えられなかったわ。異世界に来て逞しくなってるのかな」


 次いつ飲めるか浴びれるか分かんないから、ここぞとばかりに水を飲み水浴びをする。鍛冶魔法でタライや桶を製作して水を溜めれないからだ。触ってなかったら3分で消えるのに、どうしろってね。30分ぐらい降り続け、だんだんと雨が弱まり止んでしまった。自然乾燥する為タライから出る。


「えっ?なんで消えてないの?」


 水を飲んでから外に置いていた桶が消えずにそのままあるのだ。桶を地面に置いてから20分以上は経つのに消えてない。いつのまにか時間が延びた?弓を製作して置いて待ってみる。


「普通に消えたな。別に時間は延びてないな~」


 どーなってのこれ?ってタライも消えてる。


「道具・雑貨は消えないと思ったけどタライ・ベッド・テントは消えたんだよな。・・・・・大きさか?」


 確認の為、皿・コップ・イス・机・バッグを製作した。皿・コップ・バッグは残り、イス・机は消えた。持ち運んでも苦にならないものは消えないのかもしれない。自動で消えるのが分かってから、『アグアシオン』の魔法の意味が分からなかったが、今わかった。未だに鍛冶魔法の謎は解き明かせないみたいだ。

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