女友達
聞いたところによるとレンは17歳なのだそうだ。
そんな子供に魔王討伐にいかせて、さらに権力を持ちそうになったから迫害するとか、何やってんだ? そっちの世界の大人たちは。
というか、同年齢かやや下ぐらいかと思ってたのに。3歳も違うのか。
まぁ外人顔の人って日本人には老けてみえるよね?
そっちの世界じゃ寿命が短くて人生50年なのかもしれないし、そもそも1年が同じ長さなのかとか疑問もあるけどね。
後ろ髪引かれる気持ちで私は大学へ行った。
ああ、誰かにしゃべりたい。
「うちに勇者様がいるんだけどさー」って。
誰も信じないよね?
ああ、誰かにしゃべってしまいたい。楽になりたい。
そんな事を考えていたので、私は昨夜の不快だった合コンの事をすっかり忘れていた。
「くるみーぃ。なんで二次会こなかったのよー。エリカ寂しかったんだからぁ」
声をかけてきたのは山梨エリカ。大学の授業をかぶって取っていることに気がついて仲よくなった子だった。
「エリカが誘ってくれたあのサークルだけど。私には合わないみたい。ごめんね?」
私は今まで言えなかった事を思い切って言った。
どうせ行ってもいつまでもお客様状態でエリカしか仲いい人ができなかったしね。
それにこれからは勇者様育成(こっちの世界に適応させる)という使命がある!
暇な時間はこっちにあてたい。
「ええー。せっかくの大学生活なのに。くるみも彼氏とか欲しいじゃん?」
あのサークルに属する事が彼氏ができる大前提だとは思えないが、私はすでに世の中の異性に失望しか感じていない。せめて異性と普通に友人として関わってみたかったが、その夢も潰えて久しい。
家族や教師とかネットの中の男性とはしゃべったりできるんだからイイジャナイカ。もう多くを望むまい。
「ガラじゃなかったみたい」
薄々と、男子学生から厭われていると誰からも思われている私を、コンパや飲み会に誘ってくれたのはエリカだけだった。
だからそこはお礼を言う。
「ありがとね。エリカ。私もっと自分の人生でやりたい事を考えてみたいの」
その言葉が、のちのち、私の人生の大きなキーワードになってくるのだが、私は気が付いていなかった。