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勇者が家にやってきた  作者: 相川イナホ
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その設定凝ってるね~

 私達兄妹はコスプレ外人さんにピザをすすめた。


 外人さんは胸の空くような食べっぷりだった。

 最初の一口が熱くて、唇をやけどしたようだったが、そういう設定で彼がやってるのかと私達は思って大うけした。


 「ピザばかりだと喉かわくよね」


 冷蔵庫から母のビールだけじゃなく、常備してある発泡酒も出してきて、わたし達は酒盛り状態に突入した。


 たぶん私は酔っていたんだと思う。



 常識的に考えて、初対面の外人さんをいくら兄がいるからって家に引っ張りこみ(引っ張り込んだのは兄だったが)酒盛りをはじめるなど尋常じゃない。


 「…せっかく、魔王を倒して凱旋したと思ったら、王族に命を狙われるとかないよな」


 外人さんは男泣きをしながらビールを煽った。

 なるほどそういう設定なのか。だから衣服も焦げてたり、裂けてたりとダメージ受けてる風なのね。

 あと泣き上戸なのかな。


 缶ビールの蓋をあける時に驚いてみせるなど、本当に芸が細かい。


 「まぁ、どこの社会でも苦労した人こそが報われるべきっていう理想は、なかなか実現されないよね。俺も手柄を上司に取られたり、コネのある奴がいい目をみたりして、そんなの見てきて…本当冗談じゃないよなー」


 いつの間にか愚痴大会になっていた。


「見た目で判断されるの本当ムカツク。話してみると「くゆみって面白いね」とか言われる事もあるんだじょー。別にへっひょんを迫ってる訳でもにゃいし、ただの飲み会よ?ほみ会。コミュニケーションくらいひょろうよ、ねーー」


 もちろん私も愚痴っている。呂律まわってないけど。


 「ところで、ここはどこなんだ?」


 思い出したように、コスプレ外人さんが聞いてきた。


 「ここはにひょんでーす。にひょんの〇〇県ていうところの〇〇市でしゅよ。あなたは何処からひたの?」


 「ガイユ国の首都ラシャーナだ」


 「「設定、細かい~!!」


 酔っ払い兄妹は喜んだ。


 「コスプレに乾杯!」

 「おにーさんいい設定してるね!それオリジナル? そういうゲーム?」


 コスプレ外人さんの足元に置かれた剣がモノホンとも気づかないバカっぷりであった。





見知らぬ相手を家にあげるなどの危機意識のなさは、マネしないでください。

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