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勇者が家にやってきた  作者: 相川イナホ
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ディスイズアブック … 勉強しながら「見ればわかるじゃん」と思ったのは私だけじゃないはず


 「……」


 お互い無言で見つめ合う。

 目の前の勇者様(仮)も困惑顔だ。


 これをどうしろと? 


 私にはこんな事態をどうにかするためのスキルはない。



 「家違いです」


 それだけ言うとドアを閉めかけた。


 「待ってくれ!」


 その勇者「仮」は日本語で叫んで、あろうことかドアの隙間に足を突っ込んできた。


 「ここはどこだ?」

 「who are you?」


 英検4級(つまり資格として役にたたない)の私の下手な英語と、勇者「仮」の言葉がかぶった。


 このコスプレ外人(勇者「仮」)が日本語をしゃべっているのに何で私ってば無理やり出来ない英語で話かけようと思ったんだ?

 私ってば相当テンパっているらしい。



 「ここは私ん家ですよ。ホラ表札もあるし」


 答えながら、近所に外人さんが住んでいる家があったかなーと思いめぐらす。


 ウン。なかった。


 田園の中の新興住宅地だ。数軒人は暮している家はあるが、どの家にも外人さんはいない。

 というか、通勤に時間がかかるため、付近のお家の人は夫婦共働きが多いためか

まだ帰宅していないと見えて、家に灯りがついていず、真っ暗だ。


 道にでも迷ったのかな?


 それとも知り合いを訪ねてきたんだけど、まだ帰ってきてなかったとか?


 いつまでも、コスプレ外人の足をドアで挟んでおくのも何なので、ドアを仕方なしに開ける。


 「どこから来たんですか?どの家に用事ですか?」 


  言いながら兄を呼ぶ。


 「兄貴~。ちょっと来てー。道に迷ったみたい?」



 この辺、プレイヤーの聖地とかあったっけ?もしくは何かでイベントやってるとか。


 もしかしてお隣の公認会計士やってるとかいう奥様の知り合いとか?



 …ないよな。


 そう思うのだが、可能性はつぶせない。我が家には外人さんの知り合いはいないというのは確かだから、家以外のどこかのお家のお客様なのかもしれない。


 

 その時、コスプレ外人さんのお腹が鳴った。



 「ピザ食べます? とったんで」


 遠い異国からここへ来て(もしかしたら日本在住なのかもしれないが、日本語ペラペラだし)空腹のまま 真っ暗な外に置きっぱなしというのもバツが悪い。


 それによく見れば見るほど、よく出来たコスプレだ。

 近くでじっくり見てみたい。


 あの背中にしょってる剣なんか本物そっくりだし、ここくるまでよく職質とかに会わなかったなーとのんきに考える。


「なんだなんだ?」


 兄貴も部屋から出てきた。

 兄貴も短時間なら、他人とコミュニケーションが出来る。


 「げっ!外人! あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」


 おつむの具合は、さすが兄妹。

 残念の程度が一緒で果てしなく低い。



 「すまない。ここがどこか、教えてほしい」


 「あ、日本語じゃん」


 いつまでたってもここが「私の家」以上の情報を教えてもらえないコスプレ外人さんだった。 

勇者「仮」が、ピンポンを押せたのは、彼の世界にボタンを押すと何かが開くといった仕掛けがあるダンジョンがあったため…という設定でお願いいたします。

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