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勇者が家にやってきた  作者: 相川イナホ
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あなたは… 勇者様!?

1話で終わるつもりが…ゲフンゲフン

 

 心の暗黒で、神話生物でも呼び出せそうな心持ちだが、私は、誰に怒りをぶつける事もなく、無事に家に帰った。


 「ただいまー」


 今日はサークルの飲み会という名の「合コン」に誘われているため食事してくることを伝えてあったため、母はまだ帰宅していないらしい。

 おそらく、おひとり様で食事を楽しんでいるのであろう。


 母の職場はかなり遠いし、泊りもある職業だ、今日は帰らないだろうなと当たりをつける。

 兄が一人いるが、引きこもりで、部屋から出てこない。

 今もいるのかいないのかコトリとも音がしない。

 父は単身赴任で不在だ。


 無理して新築住宅を買ったとたんに単身赴任とか本当についてない人だ。


 水道の水をコップに注ぎ、一杯飲み干す。


 今日も嫌な事の多い一日だった。


 無理して履いたミュールで靴擦れも起きているし、容姿の事で不快な事を言われたり、態度に取られたりすることは今更だが、傷つかない訳じゃない。


 …飲み直しでもするか…


 冷蔵庫に母のビールを見つけ、悪い顔でほくそえむ。

 発泡酒じゃない、ビールでも値段の高い方のその缶をほくほく顔で奪取しパソコンの前に座る。


 私のお腹はどうなっているのか知らないが、あんだけ飲み食いしたのにもかかわらずもう「小腹がすいた」状態だ。


 …ちょっとつまみが欲しいなぁ


 「兄貴~? ピザとるけど食べる?」


 就職氷河期にやっとの事で入社した会社でパワハラに会い、すっかりと対人恐怖症で外に出られなくなってしまった兄だが、家族とはコミュニケーションが取れる。

 ついでに言うとネットの中での兄はかなり饒舌な方だ。

 今も、ネットをしていたらしい。


 「玉ねぎ抜きで」


 そういうと。ありがたくも樋口様を恵んでくださった。


 パソコンを立ち上げ、ネットでピザを注文する。


 さぁ、今日は何のゲームをしようか?


 私はオンラインのRPGものが大好きだ。得にドラゴンがいたり、勇者が出てくるものは大好物で、同時に2つのゲームをしたりする事はざらだ。


 今日も、ログインすれば顔は知らないが、共に冒険を潜り抜けてきたニックネームだけ知っている友人たちが声をかけてくれるだろう。


 その前に 私はため息と共にそれまでの嫌な気分をシャワーで洗い流して気分を変えた。

 リアルでどんなに気分が沈んでいても、ネットで遊ぶ以上はそれを他人に気取らせたくないし、それじゃ周りが楽しくだろうしね。


 お風呂も沸かし直し、母のお気に入りの入浴剤を勝手にいれた。

 娘の特権だね。

 勝手に使うといつも怒るくせに、ちゃんと私が使う分まで一緒に買ってきてくれるから、あきらめているのかもしれないけど。


 おお、気分が浮上してきた。


 鼻歌まで飛び出し、Tシャツとスエットズボンというある意味、無敵なくつろぎ装備に着替えたところで、玄関のチャイムがなった。


 …ピンポーン…


 ピザだと思って、玄関を無防備にあけてしまった。



 誰? これ


 そこにはゲームの世界から抜け出てきたような男が困惑顔で立っていた。


 その出で立ちはまるで…


 「…勇者様?」


 語尾があがってしまうのは仕方ないよね。

 そういう存在はリアルではコスプレでしか、ありえないのだから。


 

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